パワーゲートの後付けは可能?手続きや費用相場・使用方法も紹介
- トラックドライバー
「パワーゲートって何?」
「パワーゲートのメリットや手続き、費用相場を知りたい」
「パワーゲートの使用方法や使用する際の注意点って?」
このように、トラックに後付けするパワーゲートに関する疑問や興味を持っている人もいるのではないでしょうか。
本記事では、パワーゲートに関する基礎的な知識とともに、パワーゲートのメリットや後付けする場合の手続き、費用相場のほか、実際に使用する方法と注意点についても紹介しています。
この記事を読むことで、パワーゲートがどのようなものなのか把握することが可能です。その知識をもとに、トラックに後付けする時に注意点を踏まえて安全に利用することができるでしょう。
トラックにパワーゲートを後付けしようと検討している場合は、ぜひこの記事をチェックしてみてください。
パワーゲートとは?
トラック運転手が利用することが多い装置のひとつとして挙げられているのが、パワーゲートと呼ばれるものです。パワーゲートは一般的にはテールゲート昇降装置やテールゲートリフターとも呼ばれていて、わかりやすく言えば荷物の昇降に使う装置となっています。
トラックの後ろ側や側面に取り付けられることが多く、電動式のためリモコンひとつで手軽に荷下ろしなどができます。人の手では時間も労力もかかる作業がスムーズにできることから、利用しているトラック運転手や会社は少なくありません。
パワーゲートを使う主な業種と運ぶ品名
パワーゲートは基本的に荷物を運搬する業種が用いることが多く、特に重いものや壊れやすいものを運ぶ場合に用いられているようです。
このため、パワーゲートを使う主な業種としては引っ越し業者や建築業者、配送業者、ガス業者などが挙げられています。
運ぶ品名としては、引っ越し業者であれば大型の家具や家電、配送業者であれば重くて壊れやすい荷物、自転車や自動二輪車などです。ガス業者の場合は、プロパンガスの運搬に利用することが多い傾向が見受けられます。
パワーゲートは極東開発工業の商標
パワーゲートはテールゲートリフターやテールゲート昇降装置のことを指していて、パワーゲートという呼び名は商標名となっています。実はこの商標名は極東開発工業株式会社が1964年に商品化して登録したものです。
商品名の方が広く認知されたことから、一般的にパワーゲートと呼ばれることも多いとされています。
極東開発工業株式会社以外でもパワーゲート付きのトラックや車両は販売されていますが、上記のような理由でパワーゲートという商標名は使えないため、別の商標名で販売されているのです。
出典:パワーゲート|極東開発工業株式会社
参照:https://www.kyokuto.com/company/pdf/giho_06_7.pdf
取扱いメーカー | 商標名 |
---|---|
極東開発工業株式会社 | パワーゲート |
新明和オートエンジニアリング株式会社 | すいちょくゲート パワーゲート かくのうゲート マルチゲート |
日本フルハーフ株式会社 | フルゲートリフター |
日本リフト株式会社 | リフトゲート テナーリフト アンローダー(NLKカーリフト) |
株式会社北村製作所 | ペットリフト スライドフォルダーリフト 引き出しリフト |
日本トレクス株式会社 | トレクスゲート |
トラックのパワーゲートの種類
パワーゲートには動作方法、格納方法ごとにいくつかの種類があり、使用用途によって使い分ける必要があります。また、それぞれのパワーゲートにはメリットデメリットがあるため、用途と合わせてどの種類を利用するのか検討することが大切です。
ここからは、そんなパワーゲートの種類を4つ紹介します。
垂直式パワーゲート
垂直式パワーゲートは、開閉するプラットフォームがトラックの後方に取り付けられているタイプのもので、荷台が垂直に上下するようになっています。真っ直ぐ上下のみに動くタイプのため振動が少なく、大きな荷物を載せても転倒のリスクが少ないところが特徴です。
このような特徴から、引っ越し業者がタンスなどの大型の荷物を運搬する際に用いることが多い傾向が見受けられます。ほかにも、プロパンガスやタイヤを運ぶ際にも利用されることが多いです。
アーム式パワーゲート
アーム式パワーゲートはスイング式とも呼ばれていて、荷台の下部にアームが後付けで取り付けられているところが特徴です。固定されているアームを軸として荷物を昇降でき、床下にリフトを収納することも可能となっています。
また、アーム式パワーゲートは垂直式パワーゲートと比較すると昇降時に安定しにくいため、重心の低い荷物の運搬に適しています。このことから、三角コーンや電気ケーブルなどを運ぶことが多く、工事現場やイベント設営会場などで用いられることが多いでしょう。
跳ね上げ式パワーゲート
跳ね上げ式パワーゲートは、後部の扉に張り付くように格納されていることから、後部格納式パワーゲートとも呼ばれています。扉に取り付けているタイプのため、パワーゲートを使用しないと扉が開かないという点が特徴です。
また、プラットフォームの面積が大きくなりやすいことや、そのままゲートとして使用できるほかにも平ボディのアオリ部分にすることもできます。主に、自動販売機やカゴ台車など大型荷物の運搬に使われることが多いです。
格納式パワーゲート
格納式パワーゲートにはいくつかありますが、こちらで紹介するのは床下格納式パワーゲートです。プラットフォームがトラック後方下部(リヤオーバーハング)に取り付けられているのが、こちらのタイプの特徴と言えます。
パワーゲートを使っていない時でも荷台後方のドアを開閉できるほか、直接集荷場につけて荷物の積み下ろしが可能です。この特徴から大型トラックに備え付けられていることが多く、高床式倉庫の搬入に向いています。
パワーゲートを後付けするメリットとは?
パワーゲートは後付けすることができますが、そのメリットとして荷物の積み下ろしに関する労力や負担を軽減できる点が大きいです。例えば、複数人でなければ運べないような重い・大きい荷物や壊れやすい・扱いにくい荷物も、簡単に昇降できます。
荷物の量が多い場合や細かな荷物も、箱やカゴに詰めて簡単に積み下ろしができるため、作業効率の向上にもつながりやすいです。さらに積み下ろしの際の安全性を高められるところも、メリットとして挙げられています。
パワーゲートを後付けする方法と費用
パワーゲートは最初から装備されているものもありますが、後付けすることも可能です。ただし、自分たちで取り付けることは難しいため、基本的には業者に依頼して取り付けてもらうようになります。
その際には費用がどの程度になるのか、後付けする方法や関連する手続きについて理解しておかなければなりません。ここからは、パワーゲートを後付けする方法とその費用相場について紹介します。
パワーゲートを後付けするための手続き
パワーゲートを後付けする場合、車体重量がパワーゲート分増加します。結果として最大積載量が変わってくるため、パワーゲートを搭載した後は陸運支局で構造変更手続きと最大積載量の変更をしなければなりません。
その上で構造変更車検を通過すれば、パワーゲートを搭載した車両を利用することが可能です。
パワーゲートを後付けする費用相場
パワーゲートを後付けする場合にかかる費用内訳としては、パワーゲート本体費用のほか、取付工賃、構造変更手続きと構造変更車検にかかる費用となっています。
それを踏まえた後付けにかかる費用相場としては、アーム式のものが100~150万円程度、垂直式のものが50~100万円程度です。これらはあくまで目安であり、取り付けるパワーゲート本体によってはさらに費用がかかる場合もあります。
リサイクルパーツも利用できる
パワーゲート本体の価格は費用内訳の中でも高く、車に後付けできるパーツの中でも高額なものとして知られています。そのため、新品を取り付けようとすると思わぬ費用がかかってしまう可能性があるため注意が必要です。
そのような時におすすめなのがリサイクルパーツです。パワーゲートは中古品やリンク品、リビルド品も数多く販売されており、需要の高さから価格は新品と変わらないというものもあります。
そのため、多少でも費用を抑えたい場合はリサイクルパーツの利用を検討することも推奨されています。
パワーゲートの使用方法
パワーゲートにはいくつかの種類がありますが、基本的な使い方としては以下の通りです。
1.車のエンジンをかけた状態で車内のメインスイッチを入れる
2.プラットフォームを手で開ける
3.ボタン操作を行いプラットフォームを昇降させる
スイッチや操作するためのボタン・リモコンに関しては、車内に取り付けるタイプと遠隔操作できるタイプがあります。いずれの場合でも、操作できるのはプラットフォームの上げ下げのみであり、それ以外の操作はできません。
パワーゲートを使用する注意点
パワーゲートは荷物の積み下ろしの負担が少なく、人の手で行うよりも安全に対応できるところが魅力です。ただし扱い方を間違えた結果、事故を起こしてしまったケースは少なくありません。
このため、パワーゲートを使用する際には安全に使用するための注意点やポイントを理解しておく必要があります。ここからは、そんなパワーゲートを使用する際の注意点について紹介します。
出典:テールゲートリフターを安全に使用するために|独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所
参照:https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/doc/houkoku/2018_01/tgl_a3_r.pdf
最大積載量に注意
パワーゲートを後付けした場合に注意しなければいけないのが最大積載量です。パワーゲートはかなり重量があるパーツのため、取り付けることで車両の最大積載量が減ってしまう場合があります。
最大積載量を確認した上で荷物の積み込みをしないと思わぬ事故やトラブルになってしまう可能性があるため、最大積載量と積み下ろしする荷物に差がないか確認が必要です。
作業場所に注意
パワーゲートはどのような場所でも作業することができるものの、坂道や凹凸のある場所だと車体が安定しにくく、荷物が落下してしまうなどの事故が起こる可能性があります。
このため、作業場所は基本的に平坦な場所が指定されており、プラットフォームが安全に昇降できるスペースを確保できる場所を利用しなければなりません。
ほかにも周囲の安全に配慮する必要があるため、作業場所には三角コーンなどを設置して安全を確保しましょう。
始業前点検・定期点検も忘れずに行う
パワーゲートは手軽に操作できる反面、故障が起こりやすい一面もあります。このため、パワーゲートを取り扱っている業者に定期的なメンテナンスをしてもらう必要があるほか、始業前に自分たちでも点検することが大切です。
特にワイヤーが切れたり、スイッチやリモコンが故障したりするのはメンテナンスを怠ることで起きやすいトラブルのため、きちんと点検していくことが事故予防に繋がります。
トラックにパワーゲートの後付けは可能!
パワーゲートは安全かつ負担なく荷物を積み下ろしできるパーツとして重宝されており、すでに備え付けられている車両もあれば、トラックなどに後付けすることも可能です。
ただし、安全に使用するための注意点を踏まえなければ事故やトラブルになる可能性があるほか、用途によってパワーゲートの種類を使い分ける必要があります。その点を踏まえて、用途に合ったパワーゲートを後付けしましょう。