トラックを運転する時のコツとは?乗用車との違いや注意点も合わせて紹介- 株式会社ジャパン・リリーフ
- トラックドライバー
「トラックと乗用車の違いってなに?」
「トラックを運転する時のコツを知りたい!」
「トラックを運転する際に注意することはなに?」
トラックを運転してみたい方の中は上記のような疑問を持っているのではないでしょうか。
本記事では、トラックの運転への挑戦を考えている方に向けて、その運転のコツや注意すべきことなどを紹介しています。
本記事を読むことで、トラックと乗用車の違いといった基礎的知識やトラックを運転する時のコツなどの実践的知識を養うことができます。
トラックの運転について興味を持っている方は是非ご覧ください。
トラックと乗用車の違い
トラックは荷物を運搬するために特化した車両で、様々な大きさや呼称があります。2t車、3t車、4t車、8t車、10t車などをよく耳にするのではないでしょうか。
ここでは、初めてトラックという乗り物に興味を持ち、運転してみたい、挑戦してみたいという方がその全容を掴むことができるよう、普通自動車との違いを交えて紹介しています。
エンジン・運転装置の違い
トラックのエンジンの殆どは、軽油を燃料にしたディーゼルです。ガソリンエンジンのようなスパークプラグが不要でエンジンの構造が簡潔なため、丈夫で故障が少なく修理も簡単です。
エンジンの主な特徴として燃料の熱効率が良いこと、トルクが太く、粘り強いため、重量物を積載時の発進能力や比較的に高速ギアでも登坂能力に優れていることがあげられます。
さらに、ガソリン車でいうエンジンブレーキやブレーキペダルによる制動に加えて、排気ブレーキによってエンジンの回転数を抑えて制動補助ができるのも特徴の1つです。
普通自動車の運転パネルでは見ることがない代表的なものとして、DPF(Diesel Particulate Filter)、排ガス浄化装置と呼ばれるもので、ディーゼル車に特有の黒煙排ガスに含まれる有害物質を除去する装置があります。
また、エアサスペンションを稼働させるためにコンプレッサーが使用されており、空気圧の状態を示すインジケーターもあります。
中型や大型トラックでは、コンプレッサーの稼働によって十分な空気圧が充填されなければギアペダルを踏み込むことができず、発進することができない仕組みです。
ダンプトラックやミキサー車、塵芥車などでは、PTO(Power Take Off)というエンジンの回転力を取り出して、油圧系統に力を与える仕組みが搭載されています。
坂道で発進する際には、サイドブレーキを下ろしながら半クラッチ操作で後退するのを防ぐ緊張感がありますが、クラッチを合わせる瞬間に大きな車体が後方に動くことがないよう、坂道発進補助装置と呼ばれる便利なものも搭載されています。
車体の大きさの違い
車体の大きさやエンジンの総排気量、車輪数などについては道路運送車両法により分類されています。
自分自身が運転する車体の大きさについて、調べてみてはいかがでしょうか。
出典:自動車の種類|国土交通省
参照:https://www.mlit.go.jp/common/001324210.pdf
運転席の高さが違う
普通自動車では、運転席に座った状態の視点(アイポイント)が地上から約1.2mであるのに対して、例えば中型トラックでは約2.0m、大型車やトレーラーキャビンでは2.2~2.4m程度にもなります。
この高いアイポイントのメリットは、普通自動車と比較してより遠方の状態を見渡すことができ、早期に車線変更や停止の操作を行えることです。
デメリットは運転席から目視できない死角が多く生じることですが、アンダーミラーやアンダーサイドミラーなどを駆使してその死角を低減させようとしています。
免許証
取得している免許証によって、運転することができるトラックの大きさが異なります。
ここでは、小型、準中型、中型、大型と呼ばれるトラックを運転するために必要な免許の種類を紹介しています。自分に合ったトラックの大きさ、必要な免許を選択する際の参考にしてください。
普通免許
普通自動車は、車両重量3.5t未満、最大積載量2.0t未満、乗車定員10人以下の車両をいいます。
普通免許は18歳以上で取得することができ、普通自動車、農耕トラクタなどの小型特殊自動車、原動機付自転車を運転することができます。
その他、運転免許を取得した時期により運転できる車両の範囲が違いますので、自身の運転免許証を確認してみましょう。
出典:準中型免許と運転可能な車種について|埼玉県警察
参照:https://www.police.pref.saitama.lg.jp/f0110/menkyo/tyuugata.html
準中型免許
準中型自動車とは、車両重量7.5t未満、最大積載量4.5t未満、乗車定員10人以下の車両をいいます。
準中型免許では、この他、普通自動車、小型特殊自動車、原動機付自転車を運転することができます。
準中型免許は18歳で取得することができ、他の免許の保有を必要としません。
出典:準中型免許と運転可能な車種について|埼玉県警察
参照:https://www.police.pref.saitama.lg.jp/f0110/menkyo/tyuugata.html
中型免許
中型免許では、中型自動車、準中型自動車、普通自動車、小型特殊自動車、原動機付自転車を運転することができます。
中型免許の取得は、20歳以上でかつ2年以上の運転経験が必要です。
出典:準中型免許と運転可能な車種について|埼玉県警察
参照:https://www.police.pref.saitama.lg.jp/f0110/menkyo/tyuugata.html
大型免許
大型免許では、大型自動車、中型自動車、準中型自動車、普通自動車、小型特殊自動車、原動機付自転車を運転することができます。
大型免許の取得は、21歳以上でかつ3年以上の運転経験が必要です。
なお、コンテナをけん引するトレーラートラックについては、けん引するための自動車の免許とけん引免許の取得が必要です。
出典:準中型免許と運転可能な車種について|埼玉県警察
参照:https://www.police.pref.saitama.lg.jp/f0110/menkyo/tyuugata.html
トラックを運転する時のコツ
トラックを安全に運転するためのコツは幾つかありますが、これらの感覚を掴んでしまえば思い通りに走行することができるようになるでしょう。
ただ、トラック特有の車体の大きさ、重さ、荷台の存在は普通自動車とは異なる感覚があります。運転の基本動作である発進、加速、走行速度、減速、停止、交差点での右左折、駐車時の注意点を含めて、運転する時のコツを紹介しています。
シフトチェンジ
トップギアは5~6速の車両が殆どで、1速は急こう配での坂道発進や重量物を積んだ際の出発時に使用する程度です。
平坦地の交差点や多少の積載状況下では、2速のギアで十分に発進させることができます。トルクが非常に強いため、少し加速させた後にはギアを中飛ばしして2速から4速へ、または3速から5速へギアを変えることで燃費向上にも繋がります。
低速ながらにも慣性が働いている状態では3~4速だけで速度調整することができるため、普通自動車のマニュアル車のようにコマメに適切なギアに入れ替える必要はありません。
最近では、オートマ車も登場していますが、重量物を積んだ際のエンジンブレーキの効き具合、排気ブレーキの反応や感覚は注意深く読み取る必要があります。また、自身の手でシフトダウンできない分、制動に遅れを感じることもあり慣れが必要な部分といえます。
右折・左折をする時
トラックは停止位置で大きくハンドルを回して右左折しようとすると、後輪を軸にして後方の荷台部分が隣の車線へはみ出る形となるため、荷台部分に注意が必要です。
これをオーバーハングと呼びますが、後続車両が隣の車線を走り抜けようとする際に接触事故を起こす原因となり危険です。
常に曲がろうとする逆側のサイドミラーにも目を配り、オーバーハングの危険性を回避しなければなりません。普通自動車では無関心で良かったことですが、トラックでは重要なチェックポイントとなります。
右折時にも同様ですが、特に左折時には大きな内輪差が生じるため、しっかりと左側後輪の位置が曲がり角の頂点に達したことを確認した上でハンドルを切る必要があり、交差点の大きさによっては、対向車線や右折車線に食い込んで大回りしなければならないこともあります。
横断歩道中の歩行者や自転車がある場合には、全神経を集中させて方々を確認しながら運転操作しなければなりません。
バックや方向転換をする時
大型トラックにしても中型や小型のトラックにしても、荷台部分が大きく目視確認できない死角を持ったままバックするのは、とても危険で集中力が求められて緊張する瞬間です。
バックモニターだけに頼らず、トラックから降りて自分自身の目で確認する必要があります。
また、一度で所定の位置に収納できない場合には、焦らずに何度か切り返す運転操作を行いましょう。見えない状況を理解しないままの行動は禁物です。
スピード
一般道でも制限速度内での走行は道路交通法の観点からも当然ですが、空車時なら未だしも、重量物を積載時にはカーブや交差点の曲がり角で予想できない横方向のG、重力を感じてヒヤリとする場面があります。
制限速度内だからと目一杯の速度で走行するのではなく、常に控えめの速度で尚且つ制動ブレーキ時の車体の反応や挙動を注意深く感じ取り、常に車体に無理な力が生じないように走行する感覚を掴まなければなりません。
ブレーキをかけるタイミング
空車や荷物積載時にかかわらず、普通自動車と同じ感覚でブレーキを踏むと、スリップや車体の揺れ、最悪の場合では停止位置に間に合わずに前方の車両に追突するような事態にも成り兼ねません。
普通自動車でいうエンジンブレーキの代わりとなる排気ブレーキの効き具合を体感し、シフトダウンによるエンジンブレーキとブレーキペダルによるブレーキを上手く組み合わせて、その場面で適切な制動操作を行う必要があります。
常に安全側の意識を働かせて、早めの制動操作、ブレーキ動作を心掛けることが大切です。
トラックを運転する際に注意すること
普通自動車の運転の際には殆ど意識しない、または気にすることなく過ごせていた部分も、トラックの運転席に座ると異なった世界になってきます。
トラックは大きな車体であることが特徴ですが、荷物積載時の重量や運転操作時の車体の反応や挙動についても普通自動車とは異なり、十分に注意しなければならないことがあります。
常に車体が道路上の何処に位置しているか、特に左後輪の位置が何処にあるかを把握することが大切です。
ここでは、トラックの特性上で注意しなければならないことを紹介しています。
内輪差
右折または左折時に、前輪が描く軌道と後輪のものとの間に生じる幅の差異を内輪差と呼びます。
トラックは前輪と後輪を支える軸との間隔(ホイールベース)が大幅に長いことから内輪差は非常に大きく、特に普通自動車感覚で左折しようとすると、左後輪が歩道に乗り上げたり、ガードレールや支柱に接触したりする恐れがあるため注意が必要です。
安全に左折や右折、またはカーブを曲がる際には、十分に減速して左右のサイドミラーに映る後輪の軌跡を読み取ることが重要です。
後輪の位置がカーブや曲がり角の頂点を確実に通過できるよう、少しずつ幅寄せして後輪の軌道を描けるようにするようにしましょう。
もちろん、後輪の位置だけではなく後方からバイクや自転車がトラックの脇を走り抜けようとしていないか、巻き込み確認も併せて行うことも重要です。
車間距離
車間距離とは、前方の車両が急停止した場合や危険な状態を発見した際に安全に停止することができる距離を指します。
トラックでは車両総重量が非常に大きくなるため、荷物の積載状況や路面の状態、道路の勾配などによって影響し、80km/h以上の高速道路では普通自動車の2倍の制動距離が必要とされています。
トラックを運転する際には何らかの重い荷物を積んで直ちに停止することが難しいのだということを理解して、急ハンドルや急ブレーキがないように安全に走行するようを心がけましょう。
スピード
トラックのスピードの出し過ぎで怖いのは、カーブや交差点などの曲がり角です。
荷物の積み位置が適正でないなど、偏った荷重の状態があると、少しのきっかけで対向車線にはみ出してしまうことや横転する危険もあります。
普通自動車よりも早い段階でカーブや曲がり角の手前で十分に速度を落とし、車体の横ブレ、横方向の重力などが掛からないように注意する必要があります。
横風
トラックは横風を受ける荷台部分の面積が広いため、普通自動車で横揺れを感じるレベルであっても、トラックでは明らかにハンドルをとられる感覚を覚えるほどの恐ろしい状態となります。
高速道路の橋梁部分やトンネル出入り口手前では、横風への注意喚起や吹き流しが設置され風の強さを視覚的に認識し易くなっていますが、速度制限の表示を見たら、直ちに減速して安全速度を確保することが重要です。
トラックは横風に弱く、速度を落とすことが横転しないための対処法になります。
状況によっては、強風の横風が落ち着くまで安全な場所で待機することも、トラックを運転する上でのコツといえるでしょう。
死角
トラックは運転席から直接見ることができない死角がとても多く、範囲が広いため、ミラーもたくさんの種類が装備されています。
トラックは荷台部分を含めて道路を占有する範囲が多いため、車体と地面との間、またキャビンや荷台屋根となる上方部分も死角と捉えましょう。
駐車状態から発進の際や、高さ制限のあるアンダーパスの通過時、屋根の軒が道路境界ギリギリに迫っている場所などでは、トラックから降りて直接に目視確認することを忘れないようにしましょう。
トラックの運転のコツを身につけるには?
大きな車体の車幅感覚や後方の長さ感覚を知り、左後輪の位置の把握を行うことがトラックの運転のコツです。
要所での両サイドのミラーに映る光景の把握や、トラック特有の座席位置の高い視点、アイポイントを上手く活用した遠方状況の把握も、大きな車体を扱う上で大切な要素となるでしょう。
トラックの運転のコツをマスターしよう
トラックを上手く乗りこなすために必要なことは、一言でいうとその大きな車体の車両感覚を身につけることでしょう。
実際には、普通自動車とは異なる高い視点の座席に座ってトラックを走らせてみなければ理解できない部分もたくさんあります。
本記事を参考に、トラックの運転のコツを理解していきましょう。
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