リーチリフトとは?カウンターリフトとの違いや操作のコツも解説
- その他ドライバー
工場や倉庫などの作業現場で大活躍しているのがリーチリフトです。現場作業において、リーチリフトは荷物の積み下ろし、運搬を行うために欠かせません。そのため、リーチリフトを運転できる人材の需要は高く、求人も多い仕事といえます。
現在、あるいはこれから仕事を探そうとしている人で、リーチリフトを利用した仕事、求人に興味を抱いているという人もいることでしょう。
この記事では、基本の操作、運転するコツから、運転するために必要な免許の取り方まで、リーチリフトについて知っておきたい基礎知識を紹介しています。
この記事を最後まで読むことで、リーチリフトの特徴と安全への意識の大切さが頭に入り、実際に操作するときに役立てることができるでしょう。
リーチリフトを利用する仕事をするのであれば、まずはしっかりとリーチリフトのことを理解しておきましょう。
リーチリフトとは?
リーチリフトは、フォークリフトの種類のひとつです。フォークリフトには、このリーチリフトとカウンターリフトという2種類があります。
フォークリフトとは、車体の前部に荷物を持ちあげるためのフォーク(ツメ)が備え付けられた荷役運搬用の車両です。荷物の積み下ろしや運搬のために、工場や倉庫内で幅広く用いられます。
リーチリフトの特徴
リーチリフトの特徴のひとつは、立って操作することです。
そして、もうひとつの大きな特徴は、マストとツメを前後に動かすことができることです。リーチリフトのリーチという言葉には、手を伸ばす、到着するという意味があり、その特徴が名前に表れています。
リーチリフトとカウンターリフトの違い
一方、カウンターリフトの特徴ですが、リーチリフトとの違いは座って操作することです。車体もより車のようになっていて、ハンドル操作も車の運転のときと同じようなものになります。
カウンターリフトを一言で表すと、リーチリフトと比べてパワーと安定性により優れたフォークリフトだということです。また、リーチリフトでは動かすことができたマストとツメは固定されていて、動かすことができません。
リーチリフトが活躍する場所
リーチリフトが活躍する場所は、主に小規模な工場や倉庫です。
リーチリフトはツメを前後に動かすことができるため、ツメを車体側にしまって移動することができます。また、タイヤが約90度回転して、最小回転半径が小さいため、その場で反転できるなど小回りが利きます。
リーチリフトはこれらの特徴を生かすことができる、主に狭い場所や屋内での作業に適しているでしょう。
リーチリフトのメリット
続いて、リーチリフトのメリットとデメリットについて説明していきます。
リーチリフトの大きな特徴であり、メリットといえるのが小回りが利くことです。また、動力がバッテリー式で排気ガスが出ないため、環境にやさしいこともメリットです。
また騒音も少なく、工場や倉庫内など屋内での作業に適しているといえます。
リーチリフトのデメリット
一方、リーチリフトのデメリットは、安定性が低いことです。重心が高く、マスト剛性も低いため、荷物を高く持ち上げたときには揺動が大きくなります。
この場合や急ハンドルをとってしまったときなどは転倒する恐れもあります。しっかりと特徴を把握して危険を避けた安全第一の作業を心がけるようにしましょう。
また、動力がバッテリー式のため、稼働時間が短く、充電が必要であることもデメリットです。
リーチリフトの基本操作
リーチリフトの特徴を把握できたところで、実際にリーチリフトはどのように操縦するのか、リーチリフトの操作方法について紹介していきます。
乗る前の準備の段階も含めて、リーチリフトの操作の基本となることを説明していきます。
1:準備する
乗る前の準備として、ヘルメットの装着が必須です。また、乗車前点検も実施します。
リーチリフトの操作は、車体のフロアデッキと呼ばれるスペースに立って行います。車体の外に体が出ることは大変危険なため、足と体がフロアデッキから出ないように気をつけましょう。
左手でハンドル、右手でレバーの操作が操作時の基本ポジションです。手の位置が動くことはありませんので、守るようにしましょう。
2:前進・後進する
足元のブレーキペダルを踏み込んだ状態で走行レバーを操作することで、前進、後進ができます。走行レバーは一番右側にある少し小さいレバーです。これを奥に倒すと前進、手前に倒すと後進します。
また、走行速度は走行レバーを倒す加減によって調節することが可能です。
右折や左折、左右の動きは左手でハンドルを操作して行います。右回りに回すと右に、左に回すと左に車体が旋回します。
3:荷物を持ち上げ移動する
荷物を持ち上げる際のフォークの操作は、3つのレバーを操作して行います。
3つのレバーのそれぞれの役割は、リフトレバーでフォークの上昇下降、ティルトレバーでフォークの前傾後傾、リーチレバーはフォークの出し入れです。
流れを簡単に説明すると、荷物の前まで近づき一旦停止します。フォークのツメを水平にした状態で、車体を前進させ、荷物の載っているパレットにフォークのツメを差し込み、荷物を持ち上げます。
4:停止する
リーチリフトは、デッドマンブレーキと呼ばれるブレーキペダルを踏むとブレーキが解除されるブレーキです。
ブレーキペダルを踏み込まないと走行できません。ブレーキペダルから足を離せば自然にブレーキがかかり停止します。停止するときは、ブレーキペダルからゆっくりと足を離すようにして、急ブレーキを避けることが大切です。
なお走行レバーを中立位置に戻すか、進行方向と反対にレバーを倒すことでも、停止できます。
リーチリフトを操作するコツ
続いてリーチリフトの操作のコツについて説明していきます。
より安全で正確な操作ができるようにするため、またより速く上達させるためにもこれらを意識して操作できるといいでしょう。
- 慣れるまで練習する
- ハンドル操作・レバー操作はゆっくり行う
- 走行中はスピードを出しすぎない
1:慣れるまで練習する
リーチリフトの操作を上達させるためにまず大事なことは、とにかく慣れるまで繰り返し練習することです。どのようなことでもそうですが、何度も何度も練習することで、その動作が体に染みつき、やがて自然にできるようになります。
習熟すれば、自分の手足のように繊細に動かすこともできるようになります。乗る時間を増やすことを意識して、休憩時間や終業後の時間など空いている時間に練習していきましょう。
2:ハンドル操作・レバー操作はゆっくり行う
ハンドル操作、レバー操作をゆっくり行うことも意識したいことです。
ハンドル操作もレバー操作も、慣れていないうちは細かい操作、微調整に苦労することでしょう。感覚がつかめるまでは、ゆっくりでも確実に行った方が作業スピードも結果的に速くなります。
また、ハンドル操作は特に注意が必要で、リーチリフトのハンドルは軽いため回しすぎてしまいがちです。回しすぎると車体が急回転して横転する恐れがあるため気をつけましょう。
3:走行中はスピードを出しすぎない
安全のため走行中にスピードを出しすぎないことも意識したいことです。
リーチリフトは屋内での使用が多いため、必然的に狭く見通しの悪い場所での作業が多くなります。スピードを出して走ると衝突や、人が飛び出してきたときに対処ができません。
スピードの出しすぎは、事故やケガのリスクが非常に高くなるため注意しましょう。
リーチリフトに慣れる練習をするときのポイント
リーチリフトを操作する際や、リーチリフトに慣れて操作技術等を上達させるために、意識しておきたいポイントについても解説していきます。
自身と周囲の安全のため、より速い上達のために、これらのポイントを心がけて乗っていきましょう。
- 安全確認を怠らない
- 焦らない
- 慣れたらスピードアップも意識する
- バッテリーに負荷をかけない
- ハンドル操作は小さくする
1:安全確認を怠らない
操作する際、まず意識したい大事なポイントは常に安全確認を怠らないことです。リーチリフトは事故が多く、事故が発生したときの被害も大きい危険な乗り物です。
特に狭い倉庫内などでは、見えない場所もあり、多くの危険が潜んでいます。「こうなる恐れがあるだろう」という危険予知を含めて常に周囲の安全を確認しましょう。
また、常に安全に心を配っていること、気づいたことや危険を覚えておくことで、上達も速くなります。
2:焦らない
リーチリフトの操作時は、焦らないことも大事なポイントです。
ゆっくりでも一つひとつの操作を確実に行った方が、ミスも減り作業スピードもはやくなります。
走行中も含めて、焦って周囲の安全を配慮する余裕がなくなると、事故の危険も大きくなるため、急ぎたいところでも我慢して焦らないことを意識して作業しましょう。
3:慣れたらスピードアップも意識する
操作に慣れてきたら、作業の質やスピードを上げることも意識したいポイントです。
ゆっくりで確実な操作も大切ですが、スピードアップの意識を持っていないと、いつまでも作業スピードは上がりません。
日常的な作業や練習を繰り返すことで感覚をつかめてきたら、作業のスピードを上げる意識を持ち、素早く確実な操作を目指していきましょう。
4:バッテリーに負荷をかけない
バッテリーに負荷をかけない、リーチリフトにもやさしい運転を心がけることも大事なポイントです。
バッテリーに負荷をかけないようにすることは、より安全で正しいリーチリフトの運転や操作と同義で、これを意識していれば、自然に上達も速くなり、安全なリーチリフトの操作につながります。
バッテリーに負荷をかける行為の例は、急発進や急旋回などの急な動作、押し込み作業、重い荷を持った状態での長時間作業などです。
5:ハンドル操作は小さくする
リーチリフトは後輪操舵で、自動車と違ってハンドルを操作すると後輪が動きます。ハンドルを切りすぎてしまうと、外輪差が大きくなり、車体や荷物を周囲と接触させてしまう恐れがあるため、この点に注意したハンドル操作が必要です。
動く範囲が小さいと、周囲のモノや人との接触の危険を単純に減らせるだけでなく作業時間も短くなるため、ハンドル操作を小さくして曲がることを心がけましょう。
リーチリフトで避けるべき操作とは?
リーチリフトで避けるべき操作は、急発進、急停止、急旋回です。とにかく急な動きをしないことを強く心がけましょう。
また、慣れてくると同時に複数の操作ができるようになります。現場ではこれが当たり前のように行われていますが、同時操作やながら操作も控えた方がいい行動です。
スムーズな作業のための同時操作は仕方のない面もありますが、荷物を載せた状態での動きながらの操作に限っては危険なので避けるようにしましょう。
リーチリフト操作に必要な資格・免許を取るには?
リーチリフトを使って作業するためには、フォークリフトの運転免許を取得する必要があります。
免許を取得する方法は、運転技能講習を受講する、あるいは特別教育を受講するかの2つです。ここでは、この2つの違いと内容について簡単に説明していきます。
特別教育を受ける
特別教育を受講することで、最大積載荷重1t未満のフォークリフトの運転が可能になります。最大積載荷重1t以上のフォークリフトは運転ができないため気をつけましょう。
特別教育の終了に必要な講習時間は、学科と実技合わせて12時間で、修了証は基本的に即日交付されます。
出典:フォークリフト運転特別教育(1t未満)|資格日程東京|一般社団法人労働技能講習協会 東京本部
参照:https://www.rougi.or.jp/course/whole/tokubetu_foku
技能講習を受ける
最大積載荷重1t以上のフォークリフトに乗って作業するためには、運転技能講習を受講して免許を取得する必要があります。
取得している免許や経歴によって多少異なることがありますが、免除されない通常の場合、講習時間は学科11時間、実技24時間の合計35時間です。
最後に学科と実技の終了試験を合格して免許取得となります。難しいものではないため、必要以上に気をはらずに受講しましょう。
出典:フォークリフトの運転資格について|一般社団法人 前橋労働基準協会
参照:http://maeroukyo.com/qualification/
リーチリフトの特徴やメリット・デメリットを知っておこう
リーチリフトの仕事は活躍する場所が多く、たくさんの作業現場で重宝されています。
とても便利な存在のリーチリフトですが、ひとつ操作を間違えれば死亡事故など重大な事故につながる危険も隣り合わせです。リーチリフトを使用した作業には、何よりも安全な操作が求められます。
リーチリフトを利用した仕事をする、探しているという人は、まずしっかりとリーチリフトの特徴とその危険さについて理解することが大切です。