テールゲートリフターに係る特別教育とは?労働安全衛生規則改正の要点を解説
- 軽作業
「テールゲートリフターに係る特別教育ってどういうものなの?」
「労働安全衛生規則で改正された内容とは?」
「テールゲートリフターの操作業務に係る特別教育の内容って?」
このように、テールゲートリフターに係る特別教育の内容や、労働安全衛生規則改正の要点について知りたいという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、テールゲートリフターに係る特別教育の内容や労働安全衛生規則改正の要点などを紹介しています。この記事を読むことで、テールゲートリフターに係る特別教育とはどのようなものなのか把握できるでしょう。
また、テールゲートリフターの特別教育の対象となる機械や作業についても紹介するため、具体的にどのような作業で必要となるのか知りたい人も参考にできます。
テールゲートリフターに係る特別教育の内容や労働安全衛生規則改正の要点について知りたい人は、ぜひ本記事を参考にしてみてはいかがでしょうか。
テールゲートリフターに係る特別教育の義務化
テールゲートリフターの操作に伴う労働災害の多発に伴い、テールゲートリフターに係る特別教育が令和6年2月1日から義務化されます。
ここではテールゲートリフターに係る特別教育について解説していくため、参考にしてみてください。
テールゲートリフターとは
テールゲートリフターとは、場所を選ばずに荷物の積み卸しを簡便にする昇降装置です。トラックなどの貨物自動車の荷台の後部に取りつけられます。
テールゲートリフターは作業車の負担を軽減できるため、近年急速に普及が進んでいます。
特別教育とは
特別教育とは、労働安全衛生法に基づいて「一定の危険又は有害な業務」に労働者をつかせる際に、事業主に義務化された教育のことを指します。
特別教育が必要となる業務は、アーク溶接や小型車両系建設機械の運転など49個の業務で、労働安全衛生規則第36条で定められています。
出典:労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)|e-GOV 法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=347AC0000000057
出典:労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)|e-GOV 法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=347M50002000032
テールゲートリフター関連の労働災害の多発と特別教育の義務化
近年、荷を積み卸す作業でテールゲートリフターが用いられるようになってきていますが、テールゲートリフターの特性に関する認識が不足していることが原因で労働災害が多発しています。
そのため、労働安全衛生規則の改正によって、テールゲートリフターの操作者に対する特別教育が義務化されたという経緯があります。
出典:貨物自動車における荷役作業時の墜落・転落防止対策の充実に係る労働安全衛生規則等の一部改正のポイント|厚生労働省
参照:https://jsite.mhlw.go.jp/okayama-roudoukyoku/content/contents/001514113.pdf
労働安全衛生規則改正の要点(特別教育以外)
労働安全衛生規則は、貨物自動車における荷役作業時の墜落や転落といった労働災害を防止するための安全対策強化を目的として、内容の一部が改正されました。
ここでは特別教育以外の労働安全衛生規則改正の要点を紹介していくので、参考にしてみてください。
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- 昇降設備設置義務がある貨物自動車の範囲拡大(2023年10月1日施行)
- 保護帽着用が必要な貨物自動車の範囲拡大(2023年10月1日施行)
- エンジン停止義務の適用除外(2023年10月1日施行)
- テールゲートリフターの特別教育の義務化(2024年2月1日施行)
昇降設備設置義務がある貨物自動車の範囲拡大(2023年10月1日施行)
労働安全衛生規則の改正により、昇降設備設置義務がある貨物自動車の範囲が最大積載量「2トン以上」に拡大されました。
昇降設備は床面と荷台との間の昇降、床面と荷の上との間の昇降に必要で、踏み台などの可搬式のもの、昇降用のステップも含まれます。
出典:貨物自動車における荷役作業時の墜落・転落防止対策の充実に係る労働安全衛生規則等の一部改正のポイント|厚生労働省
参照:https://jsite.mhlw.go.jp/okayama-roudoukyoku/content/contents/001514113.pdf
保護帽着用が必要な貨物自動車の範囲拡大(2023年10月1日施行)
労働安全衛生規則の改正により、保護帽の着用が必要な貨物自動車の範囲が拡大されました。具体的には、最大積載量2トン以上5トン未満のテールゲートリフターが設置されている貨物自動車で荷を積み卸す作業を行う場合、保護帽の着用が義務となりました。
出典:貨物自動車における荷役作業時の墜落・転落防止対策の充実に係る労働安全衛生規則等の一部改正のポイント|厚生労働省
参照:https://jsite.mhlw.go.jp/okayama-roudoukyoku/content/contents/001514113.pdf
エンジン停止義務の適用除外(2023年10月1日施行)
労働安全衛生規則の改正により、操作時のエンジン停止義務は、一定の貨物自動車でテールゲートリフターを操作しようとするときは除外されるようになりました。
これは、エンジンを止めると荷役装置が動かせない貨物自動車では、運転者一人だけで荷役作業を行えないという実態があるためです。
エンジン停止義務は除外されましたが、輪止めをする、ブレーキを確実にかけるなど、逸走防止措置を講じるようにしましょう。
出典:貨物自動車における荷役作業時の墜落・転落防止対策の充実に係る労働安全衛生規則等の一部改正のポイント|厚生労働省
参照:https://jsite.mhlw.go.jp/okayama-roudoukyoku/content/contents/001514113.pdf
テールゲートリフターの特別教育の義務化(2024年2月1日施行)
労働安全衛生規則の改正により、テールゲートリフターによる作業を行っている人への特別教育が義務化されました。特別教育の義務化に関しては、他の改正ポイントと違い、2024年2月1日から施行となっています。
出典:貨物自動車における荷役作業時の墜落・転落防止対策の充実に係る労働安全衛生規則等の一部改正のポイント|厚生労働省
参照:https://jsite.mhlw.go.jp/okayama-roudoukyoku/content/contents/001514113.pdf
テールゲートリフターの操作業務に係る特別教育の内容
テールゲートリフターの操作の業務に係る特別教育では、学科と実技の講習が行われます。ここではテールゲートリフターの操作業務に係る特別教育の内容を紹介していくため、参考にしてみてください。
科目 | 時間 |
---|---|
テールゲートリフターに関する知識(学科) | 1.5時間 |
テールゲートリフターによる作業に関する知識(学科) | 2時間 |
関係法令(学科) | 0.5時間 |
テールゲートリフターの操作方法(実技) | 2時間 |
学科4時間
特別教育での学科は合計4時間となっています。内訳としては、「テールゲートリフターに関する知識」が1.5時間、「作業に関する知識」が2時間、「関係法令」が0.5時間となっています。
出典:貨物自動車における荷役作業時の墜落・転落防止対策の充実に係る労働安全衛生規則等の一部改正のポイント|厚生労働省
参照:https://jsite.mhlw.go.jp/okayama-roudoukyoku/content/contents/001514113.pdf
実技2時間
実技教育の受講時間は2時間です。実技では、実際に貨物自動車に設置されたテールゲートリフターを使い操作方法を学びます。
なお、令和6年2月1日時点で荷を積み卸す作業におけるテールゲートリフターの操作を6カ月以上経験しているものは、受講時間が1時間以上必要です。
出典:貨物自動車における荷役作業時の墜落・転落防止対策の充実に係る労働安全衛生規則等の一部改正のポイント|厚生労働省
参照:https://jsite.mhlw.go.jp/okayama-roudoukyoku/content/contents/001514113.pdf
講習受講者等の科目の省略・免除
一定の講習受講者や、令和6年2月1日時点でテールゲートリフターの実務経験がある人に関しては、特別教育の科目の省略が認められます。
免除資格と省略できる科目については以下の通りです。
・荷役ガイドラインに基づく荷役作業従事者教育(教育内容にテールゲートリフターを含むもの)の受講者:「テールゲートリフターに関する知識」「作業に関する知識」→免除
・ロールボックスパレット及びテールゲートリフター等による荷役作業安全講習会の受講者:「操作に関する知識」→免除
・令和6年2月1日時点で荷を積み卸す作業を伴うテールゲートリフターの実務経験が6カ月以上の者:「テールゲートリフターに関する知識」→45分以上、実技教育→1時間以上
出典:貨物自動車における荷役作業時の墜落・転落防止対策の充実に係る労働安全衛生規則等の一部改正のポイント|厚生労働省
参照:https://jsite.mhlw.go.jp/okayama-roudoukyoku/content/contents/001514113.pdf
テールゲートリフターの特別教育の対象となる機械・作業
テールゲートリフターに関する作業であっても、特別教育の対象にならない作業があります。ここでは最後に、テールゲートリフターの特別教育の対象となる機械や作業を紹介するので、参考にしてみてください。
対象:最大積載量2トン以上の貨物自動車のテールゲートリフター
最大積載量2トン以上の貨物自動車のテールゲートリフターは、テールゲートリフターの特別教育の対象になります。労働安全衛生規則の一部改正によって、最大積載量は5トン以上から2トン以上に変更になっています。
出典:貨物自動車における荷役作業時の墜落・転落防止対策の充実に係る労働安全衛生規則等の一部改正のポイント|厚生労働省
参照:https://jsite.mhlw.go.jp/okayama-roudoukyoku/content/contents/001514113.pdf
対象:テールゲートリフターを使用する業務
テールゲートリフターの操作を行う業務を行う場合は、テールゲートリフターの特別教育の対象となります。
対象の業務は、テールゲートリフターのスイッチ操作、テールゲートリフターに備え付けられた荷物のキャスターストッパーの操作、昇降板の展開や格納の操作などが該当します。
出典:貨物自動車における荷役作業時の墜落・転落防止対策の充実に係る労働安全衛生規則等の一部改正のポイント|厚生労働省
参照:https://jsite.mhlw.go.jp/okayama-roudoukyoku/content/contents/001514113.pdf
対象外:荷作業を伴わない定期点検等の業務
テールゲートリフターで荷を積み卸す作業を伴わない定期点検などの業務の場合は、テールゲートリフターの特別教育の対象外となります。特別教育の対象となるのは、荷作業に伴うテールゲートリフターの操作を行う場合となります。
出典:貨物自動車における荷役作業時の墜落・転落防止対策の充実に係る労働安全衛生規則等の一部改正のポイント|厚生労働省
参照:https://jsite.mhlw.go.jp/okayama-roudoukyoku/content/contents/001514113.pdf
対象外:介護用車両設置の車いす用装置等
介護用車両に設置された車いす用装置であれば、テールゲートリフターの特別教育の対象外となります。特別教育の対象となるのは、貨物自動車に設置されたテールゲートリフターです。
出典:貨物自動車における荷役作業時の墜落・転落防止対策の充実に係る労働安全衛生規則等の一部改正のポイント|厚生労働省
参照:https://jsite.mhlw.go.jp/okayama-roudoukyoku/content/contents/001514113.pdf
テールゲートリフターに係る特別教育の趣旨を理解して講習を受けよう
近年ではテールゲートリフターが普及してきていますが、テールゲートリフターの特性に対する認識が不足しているため、作業時の事故が多発しています。
ぜひ本記事で紹介したテールゲートリフターに係る特別教育の内容や労働安全衛生規則改正の要点などを参考に、テールゲートリフターを操作する場合は趣旨を理解した上で特別講習を受けるようにしましょう。