物流業界の繁忙期はいつ?スムーズに乗り切る事前準備のポイントを解説
- 物流
「物流業界が忙しい時期っていつ?」
「物流業界の閑散期が知りたい!」
「物流業界で閑散期にしておいた方がいいのはどんなこと?」
このように、物流業界について疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、物流業界で、特に忙しいと言われる時期はどのようなときなのか、逆に閑散期に当たるのはいつか、閑散期の乗り切り方や、その間にしていると良いポイントなどを紹介します。
この記事を読むことで、物流業界についての知識が深まるでしょう。繁忙期の乗り切り方も取り上げているため、すでに物流業界で働いている方には役立つ情報になっています。
現在物流業界で働いている方や、これから物流業界への就職・転職を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
物流業界の繁忙期はいつ
はじめに、物流業界の繁忙期について紹介します。物流業界が忙しくなる時期は、世の中の流れと同調する形になってくるため、ある程度決まっていると言ってもいいでしょう。以下に取り上げている期間は、忙しくなることに注意しておく必要があります。
年末年始
年末年始は、クリスマスや大晦日、お正月などいくつかのイベントで物流業界は繁忙期を迎えます。
年末年始の繁忙期は、11月上旬くらいからスタートします。企業は、年末年始休暇に入るため、お歳暮などの手配を早めにするケースは少なくありません。
メーカーでは、クリスマス商戦や年末商戦など、卸売業者で物の輸送も多くなります。ご家庭でもプレゼントを購入することが多いのではないでしょうか。
そのほか、お正月の飾りやおせちの注文など、多くの人がインターネットで物を買うことで、運送業務は忙しくなります。また、年賀状などの運送業務もあるでしょう。こういった物の動きが多く発生するのが年末年始です。
春の引っ越しシーズン
引っ越しシーズンと呼ばれているのが、3月・4月です。この時期は、引っ越し業者だけではなく、引っ越しに合わせて家具や家電を購入する人が増えるため、物流業界も忙しくなります。
また、この時期は進学、就学のタイミングでもあり、新しく必要になる物が出てくるでしょう。近くで購入できる物もあれば、インターネットで注文することもあるため、物流も増えることになります。
お中元・行楽帰省のある夏季
年末年始と同じように忙しくなるのは、夏季です。早ければ6月中盤~8月中盤あたりまでの長い繁忙期になります。
この時期は、お中元の注文が入ることで物の動きが起こったり、夏休みに入ることから、行楽・お盆の帰省などで人の移動や荷物の配送が増えたりするでしょう。
観光地では物の消費が大きくなります。企業では、夏の新製品を出すこともあり、物の流れは活性化するでしょう。
特別なイベントなどの開催時期
母の日や父の日、敬老の日、バレンタインデー、ホワイトデーなど、特別なイベントの開催時期は、プレゼントのために物が売れて物流業界は忙しくなります。
また、企業などでは、新規の顧客開拓やリピーターを増やすために、セールやポイント還元など、定期的にイベントを行うことがあります。開催されるタイミングによって配送の荷物量が増えるでしょう。
地域の特性による繁忙期
地域の特性による繁忙期とは、その地域によって変わってきます。たとえば、旬を迎える農産物や海産物の注文が増える時期です。
お米であれば、新米を食べたい人は産地によって時期のずれはありますが、8月下旬や9月上旬、下旬などに注文するでしょう。この時期、お米の産地や届ける配送先の中で物の動きが発生します。
また、リゾート地域が繁忙期を迎えることもあります。夏であれば海やプールがある場所では、浮き輪、冬のスキー場では、スノーボード、スキー道具など、物が必要とされれば忙しくなります。
予期せぬ事情による繁忙期
予期せぬ事情による繁忙期は、感染症の蔓延などが原因になることもあります。人が外に出づらくなるような状況になれば、買い物へ出ることも控えるため、インターネット注文で食材や日用品を頼む人が増えるでしょう。休日、家で楽しめるゲームなどの需要が増えます。
そのほか、テレビやSNSなどで取り上げられた商品に人気が出たことで注文が殺到し、繁忙期に入ってしまうこともあります。
閑散期だと思っていた時期に急に忙しくなれば人手不足、スケジュール調整が難しくなるでしょう。
物流・運送業界の繁忙期の乗り越え方
続いては、物流・運送業界の繁忙期の乗り越え方を紹介します。繁忙期は、非常に多忙になることが予想されますが、いくつかのポイントを押さえて対応することで、比較的スムーズに乗り越えられるでしょう。
スケジュールの事前確認と体制整備
会社が、どういった物を主に扱っているかによって、繁忙期の時期が明確になります。前年度の動きと、今年度のカレンダーを見て物流が多くなるタイミングを把握し、その期間は人手が足りるように体制を整えておきましょう。
配達シールの活用などわかりやすい環境の整備
忙しくなってしまうと、ドライバーも配達日時を間違えてしまうことがあります。届け先によって、大きなクレームに発展してしまうこともあるでしょう。
配達の時期を間違えないようにするために、指定日配達シールを活用すると、配達日を間違えてしまうリスクに備えられます。
ITを活用したリアルタイムの情報把握と共有
最近では、これまで負担がかかっていた業務部分をIT化して、物流に関するリアルタイムな情報を把握、共有できるような仕組みを作っている企業が増えてきています。
たとえば、ITを活用することで、過去のデータやその日に入ってきた情報から、今の最適な輸送ルートを導き出せるため、輸送品質の向上が可能になるでしょう。IT化されている企業は、その情報をどんどん仕事に活かしてみてください。
IT導入できていない企業は、できる限り早く移行することをおすすめします。繁忙期の負担も軽減するでしょう。
物流業界の閑散期はいつ
ここでは、物流業界の閑散期はいつなのか、という点を解説します。中には予測できないケースもありますが、繁忙期のように閑散期も大体決まっています。閑散期を把握しておくことで、心と体を休める時期の目途も立つため、チェックしておくと良いでしょう。
繁忙期が終わった後
物流業界の閑散期は、基本的に繁忙の後に訪れます。その会社が取り扱っている物によっても変わってきますが、年末年始の終わった2月や、引っ越しシーズンの後の5月、夏休み明けの9月、10月などが閑散期でしょう。
繁忙の後に閑散期、というサイクルになっているため、「忙しい時期が過ぎればゆとりが出る」と思っておくと良いでしょう。
天候や災害に左右される場合もある
思わぬ時期が閑散期になることもあります。天候や自然災害によって、道路が通行止めになった場合、トラックドライバーは配送ができなくなり閑散期に突入します。
たとえば、大規模地震の発生、大雨による冠水、大雪、台風などです。
閑散期にしておくべきことのポイント
最後に、閑散期にしておくべきことのポイントを紹介します。閑散期は、余裕のある時期になりますが、このときに何もしていないと時間を持て余しているだけになってしまうでしょう。すぐに次の繁忙期が訪れるため、その準備をしておく必要があります。
以下の内容をチェックして、具体的にどのようなことをしておくと良いか、しっかり把握しておきましょう。
- トラックなど輸送機器の点検
- 新規顧客開拓
- スムーズに動ける社内環境の整備
- 忙しくなることを見越した準備作業
- 後回しになっていた作業処理
- 業務改善のためのアイデア募集
- 社内コミュニケーションの積極化
- 気分転換・リフレッシュする
トラックなど輸送機器の点検
繁忙期で酷使したトラックや輸送機器は、閑散期の間に点検しておきましょう。輸送機器は、トラックのほかに車、船舶、航空機、倉庫内で使うフォークリフトなどがあります。
点検を怠ってしまうと、繁忙期中に故障する可能性が出てきます。輸送機器が故障すれば、業務ができなくなり、関連企業やお届け先に迷惑をかけてしまいかねません。
新規顧客開拓
会社の利益を上げるために、新規顧客開拓は大切です。
時間に余裕のある閑散期は、新規開拓として電話をかけたり、見込み客へのダイレクトメールを送ったりするなどして、営業をする時期にすると良いでしょう。SNSを活用して情報を発信していくのもおすすめです。
スムーズに動ける社内環境の整備
物流業界では、人手不足が深刻と言われています。中でも物流業界の職種の1つであるトラックドライバーは、人材不足が顕著です。
国土交通省・厚生労働省が発表している資料「トラックドライバーの人材確保・育成に向けて」を見ると、トラックドライバーの有効求人倍率は、年々上昇傾向していることがわかります。
自分が働いている会社の環境はどうか、閑散期に考えてみてください。もし、働きにくい面があれば見直しや改善を会社に提案していきましょう。
スムーズに動ける状況にない社内環境のまま繁忙期を迎えれば、残業時間が増え、残業が多くなれば、離職率を上げる可能性があります。
離職してしまった人の分まで業務が自分に回ってきてしまうため、働く環境が悪くなってしまう恐れがあります。
人材育成、定着しやすい労働環境になるように、社員1人1人が心がけていくことが大切です。
出典:トラックドライバーの人材確保・育成に向けて|国土交通省・厚生労働省
参照:https://www.mlit.go.jp/common/001090803.pdf
忙しくなることを見越した準備作業
繁忙期は忙しいことが明白です。忙しくなることを想定して、思いついた準備作業は閑散期中に完了させておきましょう。
たとえば、同じエリアを輸送する場合、通過する時間によって渋滞に巻き込まれることがあります。「通るルートを変えれば、もっと早い時間に到着できたな」と思うことはなかったでしょうか。業務がスムーズにできるように効率の良い運搬計画を立ててみましょう。
後回しになっていた作業処理
繁忙期中に、「忙しくて手が回らないから暇になったらやろう」と思った作業はなかったでしょうか。閑散期は、そういった後に回した業務を処理する時間にすると良いでしょう。
ただ、後回しにした作業があっても、時間が経過したことで忘れてしまうこともあります。大切なことは忘れないように、どんなに忙しくても、メモに残す習慣をつけることをおすすめします。
業務改善のためのアイデア募集
閑散期の間に、業務改善のためのアイデア募集をしてみても良いでしょう。同じ職場の人にアンケートなどを行って意見を聞いていくのもおすすめです。
また、これまで当たり前の工程だと思って作業していた内容を1つ1つ見直して、無駄な工数が生まれているところはないか、工夫できることはないかなど確認してみてください。丁寧に振り返ることで、何かプラスになるアイデアが浮かんでくることもあります。
社内コミュニケーションの積極化
物流業界といっても職種はさまざまです。物流センターや倉庫内作業をしていても繁忙期は、普通の会話をする時間がないこともあります。普段話すことが少ない従業員と積極的に交流しておくと、繁忙期に入ったときも、連携がとりやすくなる可能性があります。
また、トラックドライバーの場合、1人でもくもくと運転しているため、同じ会社の人間でも対面で話す機会があまりない、ということも少なくありません。閑散期こそ、できるだけ会社の人と雑談を楽しんでみてください。
気分転換・リフレッシュする
スケジュールの確認や体制の調整など、繁忙期に向けた対策が十分にできて特に何もすることがなければ、気分転換・リフレッシュに向けて動きましょう。繁忙期中に、時間が取れずできなかったことはなかったでしょうか。
繁忙期は、どうしても激務になってしまうことがあるため、時間に余裕があるうちに楽しいことを存分にしたり、体を休めたりする時間にあてることをおすすめします。
繁忙期の間、肉体疲労が酷く、肩や腰が慢性的に痛いと気づいている場合は、病院などで診てもらい治療を徹底しておくのも良いでしょう。
物流業界の繁忙期は情報取集と事前準備で乗り越えよう
春の引っ越し、夏季、年末年始など想定内の繁忙期であれば、対策はそこまで難しいものではないでしょう。
しかし、予期せぬ繁忙期が訪れることもあります。安定的で良質なサービスを提供していくためには、業務の効率化は今後ますます求められていくでしょう。
現在は、ITを活用することでリアルタイムの情報把握も可能です。そういった技術を的確に使ったり、閑散期中に忙しくなることを見越した準備作業などを徹底したりして、繁忙期に備えられるよう努力していきましょう。