軽貨物の運送業で遭遇しやすいトラブル事例│解決策や相談先、回避法も解説
- 物流
軽貨物運送業において、トラブルに遭遇したことがある人もいるのではないでしょうか。
どのようなトラブルに遭遇しうるのかを事前に知っておくことで、
お客様に対して柔軟な対応ができるものです。
本記事では、軽貨物運送業で遭遇しやすいトラブル事例、
解決策、相談先、回避法について、詳しく解説します。
軽貨物運送業で起こりがちなトラブルとは
「軽貨物運送業」は軽トラックを使って荷物を運送する人のことで、日本国内でもよく見かけるでしょう。
そんな軽貨物運送業では、ドライバーの確認や連絡ミスなどでトラブルに発展してしまうことがあります。
ここでは軽貨物運送業でよくあるトラブルとして6つのトラブルを紹介します。
お客様への対応が悪い
軽貨物運送業のトラブルで起こりやすいトラブルの1つは、お客様への対応が原因で起こるトラブルです。
たとえばお客様からの電話へのコールバックを怠ったり適当な対応をしたり、
指定された場所ではなく他の場所に荷物を置いてしまったりといった不適切な対応が原因で、お客様とトラブルになる場合があります。
お客様と直接トラブルが起こった場合は、ドライバーの確認ミスやお客様への対応の悪さが原因であることが多いでしょう。
配送遅延や届け先の間違い
軽貨物運送業では配送先の住所を間違って配送してしまう誤配や、指定された配送時間に遅れてしまう配送遅延といったトラブルも起こりやすくなっています。
配送担当がエリアに慣れていないことから予定していた時間に届けられずトラブルになってしまうため、
配送遅延は慣れていないドライバーに多いトラブルです。逆に慣れているドライバーは思い込みから、荷物の届け先を間違って誤配達してしまうことがあります。
また早配という、指定時間よりも早く届けてしまうこともトラブルにつながります。
お客様が時間を指定しているのは、それ以外の時間は不都合だということです。そのため、配達予定時間より早くても遅くても、トラブルの原因になってしまうでしょう。
荷物の破損・汚損
軽貨物運送業は荷物を慎重に配送するよう心掛けていますが、それでも配送中に誤って荷物が破損や汚損してしまうことがあり、そのことがトラブルにつながってしまうでしょう。
雑な荷物の扱いで荷物が破損・汚損してしまうのは問題外ですが、適切に扱っていても誤って落としてしまったり、置き方が悪かったりして破損・汚損することもあります。
とくに荷物の置き方や中身に注意が促されている荷物については、積み方や取り扱い方にも気をつける必要があるでしょう。
不在票の記入に不備がある
荷物を配送しても不在であれば不在票を残しますが、その不在票の内容が読めなかったり間違っていたりするなど、不備があってトラブルにつながる例もあります。
不在票にはドライバーの電話番号や、宅配BOX使用時には暗証番号を記入します。その際、不在表を雑に書いてしまうと、
読めない、読めても書かれている番号が間違っていて電話がつながらない、宅配BOXが開けられないなどのトラブルが起こってしまうのです。
配送中に車両が故障してしまう
軽貨物運送業は軽トラックで配送していますが、配送中に車両が故障してしまうこともあります。
たとえば配送中にバッテリーが上がってしまい、車両が故障して動かせず配送が困難になるといったトラブルが起こりやすいでしょう。
バッテリー上がりは、夏場や冬場にエアコンを長時間使用したり、ルームランプをよく使ったりすることで起こりがちです。
また軽貨物運送業で使う軽トラックは、通常の使用時よりもエンジンを付けたり消したりすることが多いため、バッテリーやエンジンに負荷をかけてしまうことも原因の1つでしょう。
報酬や契約内容を巡って委託元と揉める
軽貨物運送業で起こるトラブルは、お客様相手のものばかりではありません。
時には報酬や契約内容を巡り、実際に配送した後で委託元とトラブルになってしまうことがあるでしょう。
報酬や契約内容を契約前に決めていても、実際に配送した後に支払われた報酬が想定していたものとかけ離れていた、というトラブルです。
契約前とは違う報酬額になったり、さまざまな中抜きがあって実際に受け取った報酬が少なかったりするというトラブルが起こりやすいでしょう。
軽貨物運送業でよくあるトラブル事例紹介
軽貨物運送業でよくあるトラブル事例についてご紹介します。
トラブル例①~荷物の破損~
荷物の扱いが悪かったことにより、荷物を破損したり、汚す場合があります。
取扱う荷物が大量の場合に発生しがちなトラブルですので、
荷物は慎重に取り扱いましょう。
トラブル例②~荷物の紛失~
荷物の行先を確認せずに荷積みを行なったり、配送先を間違うことは、
荷物の紛失につながります。
荷物は行先別に分けて行先を間違わないようにするなど、
荷物を居場所が明確に分かるようにしておきましょう。
トラブル例③~指定時間が守れない~
荷物によっては、配達日時が指定されているものがあります。
指定された日時が守れない場合、お客様からのクレームだけでなく、
最悪の場合は契約解除や損害賠償請求に発展する可能性があるのです。
トラブル例④~お客様とのトラブル~
お客様に不適切な対応をすると、トラブルに発展する場合があります。
お客様とのコミュニケーションを大切にし、丁寧な対応を心がけましょう。
トラブル例⑤~車両トラブル~
配達に使用している車がトラブルを起こすと、そこで業務が止まってしまいます。
車両トラブルを防ぐためには、定期点検はもちろんのこと、
エンジンオイルなどの消耗品の交換は、
交換時期を守りながら車を維持することがおすすめです。
軽貨物運送業でトラブルを回避するためのポイント
ここまで、軽貨物運送業で起こりやすいトラブルを紹介してきました。
トラブルが多いことに驚いた人もいるのではないでしょうか。
しかし軽貨物運送業のトラブルにはドライバー本人の心掛け次第、あるいは備えておくことで回避できるものもあります。
ここからは、軽貨物運送業のトラブルを回避するためのポイントを7つ紹介します。
軽貨物運送業で働くことを検討している場合は、これらの回避ポイントをしっかり押さえておきましょう。
- 身だしなみに気をつける
- 感じのいい対応を心掛ける
- 荷室の整理整頓をして誤配を防ぐ
- 伝票のチェックを怠らない
- 車両のメンテナンスを定期的に行う
- 物損事故に備えて貨物保険に加入しておく
- 業務委託契約の際は内容を細部までチェックする
身だしなみに気をつける
軽貨物運送業で遭遇しやすいトラブルにはお客様相手のトラブルも多いため、お客様に好印象を持ってもらえるよう身だしなみに気をつけるようにしましょう。
だらしない格好をしたドライバーよりも、清潔な身だしなみをしたドライバーの方がお客様に与える印象は良くなります。好印象を与えられれば、お客様に信頼されやすいでしょう。
とくにお客様の目に触れる作業着や手袋は、汚れたものを使い続けないように気をつけましょう。
感じのいい対応を心掛ける
荷物を配送した時のお客様への挨拶や、電話応対で感じのいい対応を心掛けることも大切です。
お客様に話しかけられた際やお客様からの電話には真摯な態度で丁寧に聞き、
感じのいい対応を心掛けることでお客様はしっかり話を聞いてくれたと信頼してくれやすくなります。
信頼を得られれば、今後も継続して使ってもらえる可能性が上がります。
とくに電話応対では顔が見えないため、明るく元気な声を出すように心掛けることが大切です。
荷室の整理整頓をして誤配を防ぐ
誤配を防ぐためにも荷室を整理整頓し、分かりやすく分けておくことが大切です。
誤配は慣れているドライバーでも起こしやすいトラブルです。
あらかじめ荷物を積む時に伝票を確認し、配送するエリアごとに分けて整理整頓しておくと良いでしょう。
同じ見た目の荷物が多い際には、とくに注意が必要です。
割れ物や上下の指定がある荷物もしっかり整理しておき、荷物の破損・汚損を防ぎましょう。
荷室を板張りにして綺麗に保ったり、折り畳み式コンテナを活用したりする方法もあります。
伝票のチェックを怠らない
誤配や遅配を防ぐためにも、伝票のチェックをしっかりして怠らないことが大切です。
遅配や誤配をしてしまうと、お客様に多大な迷惑をかけてしまいます。
1度チェックしただけでは思い込みや勘違いしていることがあるため、チェックを繰り返すことも大切です。
伝票の確認は少なくとも3回、積み込み時・荷下ろし時・配達時それぞれに行うようにしましょう。
車両のメンテナンスを定期的に行う
軽貨物運送業で使っている軽トラックが故障してしまうこともあるため、車両のメンテナンスを定期的に行い、予期せぬ故障が起こらないように対策しておきましょう。
具体的に確認しておきたいのは、エンジンオイルやクーラント液(冷却水)、バッテリーなどです。
とくに夏場や冬場のエアコン使用、ルームランプの使用でバッテリーが上がりやすいため、バッテリーはしっかりチェックしておきましょう。
また万が一に備えて、ジャンプコードを備えておくこともおすすめです。
物損事故に備えて貨物保険に加入しておく
車の運転に気をつけていても、予期せぬ事故に巻き込まれてしまうことはあるものです。
万が一の物損事故に備えて、貨物保険に加入しておくようにしましょう。
もし物損事故に遭遇し、賠償請求された際に貨物保険に入っていなければ多大な費用負担が発生する可能性があります。
賠償額が多ければ、支払いが困難になる可能性もあるでしょう。
貨物保険に入り、そういったリスクに備えておくことが大切です。
業務委託契約の際は内容を細部までチェックする
業務契約締結後、報酬や違約金といった契約内容を巡りトラブルになることもあります。
そういったトラブルを防ぐためには、業務委託契約を結ぶ前に契約内容の細部までチェックすることが大切です。
具体的な業務内容、報酬額、報酬額から中抜きされる金額の有無、違約金についてをとくに注意してチェックしておきましょう。
もし不明な点が1つでもあるなら、契約を結ぶことはおすすめできません。
不安がある場合は、慣れている人に相談しても良いでしょう。
軽貨物運送業でトラブルになってしまった時の対応
どんなに気をつけていても、トラブルに遭遇することがあります。
もしトラブルに遭遇してしまったらどうすればいいのか、対応方法を紹介します。
まずトラブルに遭遇した際に心掛けておきたいのは、すぐに対応するということです。
以下の対応をする場合も、早ければ早いほど失う信頼を少なくできるでしょう。
お客様の話をよく聞いて誠実に対応する
お客様との間でトラブルが起こってしまった場合は、まずお客様が何を訴えているのかをよく聞いて、誠実に対応しましょう。
言い訳することなく、お客様の話をよく聞きます。お客様が何を求めているのか、
どういったトラブルが起こったのかをしっかり把握した上で、ミスがあれば謝罪するといった誠実な対応をしましょう。
トラブルを起こしてしまったとしても、しっかり誠実に対応すればお客様の信頼を取り戻せる可能性があります。
荷物の破損・汚損は速やかに報告して謝罪する
配達時に荷物の破損・汚損に気づいた場合は速やかに報告して謝罪し、どう対応していくか話し合いましょう。
その際、荷物はお客様にとって大切なものであるということを忘れてはいけません。
中身に問題がない場合は謝罪だけで済むとしても、中身も破損・汚損していれば交換や保証といった対応が必要になる場合があります。
速やかに荷物が破損・汚損していることをお客様に伝えて状況を確認してもらい、今後どうするのか話し合いましょう。
配送が遅れそうな場合はお客様に連絡を入れる
もし配送が遅れ遅配になってしまいそうな場合は、そうなりそうだと気づいた時点で速やかに、お客様に連絡を入れるようにしましょう。
その際、具体的に何分~何十分程度遅れる可能性があるのか、到着予定時刻はいつ頃なのかといったことを伝えます。
配送時間が指定された荷物の場合、お客様は到着予定時間に予定を調整して待っています。
その待ち時間を無駄にしないよう、またお客様を待たせ過ぎないように、遅配になってしまうことや具体的な到着時間を伝えておきましょう。
委託元とのトラブルは国民生活センターなどに相談する
もし委託元とトラブルになってしまい、解決が難しい場合はまず「国民生活センター」に相談してみましょう。
国民生活センターは軽貨物運送業の契約に関するトラブルについて、サポートしてくれます。
国民生活センターでは過去に相談のあった「相談事例」の紹介もしているため、相談する前にそちらを参考にすることも可能です。
もし国民生活センターでは解決できない場合、「弁護士」に相談する方法もあります。検討してみましょう。
出典:相談事例|国民生活センター
参照:https://www.kokusen.go.jp/category/jirei.html
専門家に相談するのもあり!
軽貨物運送業でトラブルが発生した場合、以下のような相談をするといいでしょう。
運送業に関連する法律については、株式会社ジャパン・リリーフの
「運送業に関連する主な法律は?輸送の安全のための改正点なども紹介」の
記事も役に立ちますので、合わせて参考になさってください。
おすすめの専門家の相談先
軽貨物運送業でトラブルが発生した場合は、以下の機関に相談することがおすすめです。
相談機関 | 内容 | |
1 | 弁護士 | 法律に関するトラブル全般の相談 |
2 | 国民生活センター | 消費者トラブルに関する相談 |
3 | 地方運輸局 | 運送業に関するトラブルや不正行為に関する相談 |
4 | 軽貨物ユニオン | 軽貨物運送業者の組合へ相談 |
相談の流れ
上記の中から、利用したい機関を選択し、
その機関に電話やメールで相談・連絡をしましょう。
弁護士に相談する場合は、有料であることがほとんどで、
30分の相談で5,000円程度の費用が必要です。
弁護士相談で費用をかけたくない場合は、
市区町村役場で行なわれている法律家の無料相談に出向いてください。
相談時間は15~20分程度と長くありませんが、
話を簡潔にまとめて話すことで、相談を解決に至るかもしれません。
まとめ
軽貨物運送業で遭遇しやすいトラブル事例、解決策、相談先、回避法について、
ご理解深まりましたでしょうか。
軽貨物運送業でトラブルなく業務を行なうことが理想ですが、
トラブルが発生する可能性はゼロではありません。
もし、トラブルが発生した場合は、
複数の相談先がありましたので、参考になさってください。
本記事を参考に、軽貨物運送業でトラブルが発生した際は、
迅速な対応を心がけていただければ幸いです。