過積載に目安はあるの?違反した場合の罰則や防止するための確認方法も解説
- 物流
「過積載って何?」
「最大積載量の目安って?」
「過積載が発覚した場合にはどんな罰則がある?」
このように、トラックドライバーなどの仕事をしている人の中には、過積載について知りたいと考えている人もいるのではないでしょうか。
本記事では、過積載が禁止されている理由や最大積載量の目安などを解説しています。この記事を読むことで、過積載について理解を深めることができるでしょう。
また、過積載が発覚した場合の罰則や過積載を防ぐポイントについても解説するため、これからドライバーとして仕事を始めるという人も参考にできます。
過積載の目安や過積載が発覚した場合の罰則などについて知りたい人は、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
過積載の背景
近年では、トラックやダンプカーなどの過積載による交通事故が多発しています。トラックやダンプカーなどの大きな車両は、ひとたび事故が起これば大きな事故になる可能性が高いと言えるでしょう。
そのため、事故の原因の一つとして過積載が問題となっています。ここでは過積載の背景について解説していくため、参考にしてみてください。
過積載とは?
過積載とは、車両それぞれに定められている最大積載量を超えた荷物を積んで走行することを指します。過積載は道路交通法違反になりますが、違反とわかっていながら過積載を行い、その結果事故に繋がるケースも多いです。
出典:過積載は、荷主にも罰則が適用されます!!|国土交通省
参照:https://wwwtb.mlit.go.jp/chubu/gifu/yusou/kamotsu/kasekisai.pdf
過積載はなぜ無くならない?
道路交通法違反であるにもかかわらず過積載がなくならない原因として、過当競争による不当な利益追求が挙げられます。近年では、規制緩和などによって運送業に参入しやすくなったこともあり、運送業界全体が過当競争の状態になっていると言えます。
そのため、できるだけ少ない車両数で多くの資材を運び、利益を得たいという思惑から過積載が発生しやすくなっているのでしょう。また、できるだけ少ない台数に多くの荷物を積んで、コスト削減したいと考える荷主からの要求も過積載の原因になっています。
許容範囲は無い!過積載が禁止されている理由
過積載には許容範囲はありません。トラックやダンプカーなど、車両それぞれに最大積載量が決められているため、車両を運転する以上、ルールを守る必要があります。
過積載が禁止されている理由は、事故に繋がる可能性があるためです。ここでは、過積載が禁止されている理由を紹介していきます。
荷崩れが発生する
最大積載量を超えた荷物を積み込んだ場合、バランスが崩れて荷崩れが発生するリスクが高くなります。走行中に荷崩れが発生すれば、荷物に被害が出るだけでなく、他の車を巻き込んで事故に繋がる可能性もあります。
また、過積載の状態になるとブレーキの踏みこみ自体が多くなるため、荷崩れが発生しやすくなると言えるでしょう。
ブレーキの利きが悪くなる
過積載の場合は車両が重たくなるため、制動距離が伸びます。制動距離とは、ブレーキをかけてから実際に車が止まるまでの距離を指します。
つまり、過積載の車はブレーキの効きが悪くなるため、事故が発生しやすくなると言えるでしょう。また、下り坂では通常よりもブレーキを踏みこまなければいけなくなるため、ブレーキにも負荷がかかります。
そのため、フェード現象によってブレーキが効かなくなるリスクもあります。
道路にダメージを与える
アスファルトで舗装された道の強度は決まっているため、過積載の車が走行することによって道路にダメージを与えてしまいます。アスファルトの老朽化が進むことで道路が傷めば、事故を誘発するリスクも高まります。
また、道路が陥没することで水道管の破裂などの事故に繋がる可能性もあるため、非常に危険だと言えるでしょう。
車両にダメージを与える
最大積載量を超えた荷物を積み込むことで、車両の車軸にも負担がかかることになります。過積載を繰り返せばダメージが積み重なり、車の寿命自体が短くなってしまいます。
また、車軸だけでなくタイヤへの負荷も大きくなるため、走行中のパンクによって重大な事故が発生する可能性もあるでしょう。
最大積載量の目安はある?
最大積載量の目安は車両によって異なります。
実際の最大積載量は車種ごとに異なるため、使用する車両の仕様を確認する必要があります。ここでは車両の種類ごとの目安を紹介していくため、参考にしてみてください。
トラックの場合
トラックには小型、中型、大型の3つのタイプがあります。
一般的な小型トラックは最大積載量は2トン以下になります。中型トラックは積載量が4トンクラスのトラックを総称して呼ぶことが多く、平ボディ車やバンボディ車など、車両の構造によって積載量に違いが出てきます。
また、大型トラックは積載量が10トンクラスのトラックを総称して呼ぶことが多く、中型トラック同様、車両の構造によって積載量に違いが出てきます。
実際の最大積載量は車種ごとに異なるため、使用する車両の仕様を確認する必要があります。
出典:事業用トラックの種類|全日本トラック協会
参照:https://jta.or.jp/ippan/hayawakari/2-shurui-page1.html
ダンプカーの場合
ダンプカーにも小型、中型、大型の3つのタイプがあります。ただし、ダンプカーにはさまざまな種類があるため、メーカーや種類によって最大積載量が異なります。
一般的に、小型ダンプカーは最大積載量2トン程度が目安、中型ダンプカーは最大積載量3.5トン程度が目安です。また、大型ダンプカーになると最大積載量は9トン程度が目安となります。
トレーラーの場合
トレーラーは高層ビルの鉄骨などの重量物を運ぶことになるため、最大積載量が100トン以上のものもあります。
また、トレーラーで重量物を運ぶ場合は、最大積載量を遵守することはもちろん、「特殊車両の通行許可」の取得など、事前に手続きを行って許可を取っておく必要があります。トレーラーでは非常に重たいものを運ぶことになるため、運転の際には十分な注意が必要です。
出典:特殊車両通行許可制度について|国土交通省 関東地方整備局
参照:https://www.ktr.mlit.go.jp/road/sinsei/index00000004.html
過積載が発覚した場合の罰則は?
過積載を行ったことが発覚した場合、法律違反となるため罰則が科せられます。また、過積載を行った運転手だけでなく、運転手に指示をした会社や荷主など、それぞれに罰則が科せられることになります。
ここでは過積載が発覚した場合の罰則について解説していくため、どのような罰則があるのか把握しておくようにしましょう。
運転手への罰則
過積載が発覚した場合、当たり前のことですが車を運転している運転手には罰則が科されます。罰則の内容は過積載の割合によって異なるのが特徴です。
たとえば、大型車で過積載を行った場合、過積載の割合が5割未満の場合は違反点数2点、反則金は3万円が課せられます。
また、過積載割合が10割以上の場合は違反点数6点、6ヵ月以下の懲役または10万円以下の罰金などの罰則があります。
出典:過積載は、荷主にも罰則が適用されます!!|国土交通省
参照:https://wwwtb.mlit.go.jp/chubu/gifu/yusou/kamotsu/kasekisai.pdf
会社への罰則
運送会社は運用管理者として、法令で定められた業務を行う必要があります。そのため、自社に所属している運転手の過積載が発覚した場合、運転手に対して指示を行った会社にも罰則が科されます。
過積載が発覚した場合は事業許可の取り消しにも繋がるため、会社としての社会的な信用を失うリスクがあります。
出典:過積載は、荷主にも罰則が適用されます!!|国土交通省
参照:https://wwwtb.mlit.go.jp/chubu/gifu/yusou/kamotsu/kasekisai.pdf
荷主への罰則
過積載になることを把握していながら荷物を引き渡した荷主にも罰則が科せられます。法令違反を行った場合は荷主に対して再発防止命令が出され、さらに再発防止命令に違反した場合は6ヵ月以下の懲役や10万円以下の罰金が科されることになります。
出典:過積載は、荷主にも罰則が適用されます!!|国土交通省
参照:https://wwwtb.mlit.go.jp/chubu/gifu/yusou/kamotsu/kasekisai.pdf
過積載を防ぐポイントは?
ここまで紹介したとおり、過積載が発覚した場合は運転手だけでなく会社や荷主も罰則が科される可能性があります。また、過積載によって重大な事故を引き起こす可能性もあるため、過積載にならないようにすることが重要だと言えるでしょう。
ここでは過積載を防ぐポイントを紹介していくため、参考にしてみてください。
自重計やスケールを活用する
過積載を防ぐには、自重計やスケールなどを活用するのが有効です。荷物を積み込む際に自重計やスケールを使って積載量を計測することで、過積載を防ぐことができるでしょう。
また、その際に積載状況と計測結果を写真にして残しておけば、記録を管理することができます。
目視で確認する
過積載になっていないかどうか確認するには、目視で確認することが大切です。たとえば、土砂や砕石などの建築資材の場合、平らにならした状態でボディーの高さまでに収まっていれば過積載にはなっていないと言えます。
資材の形によってはボディーを超える場合もあります。しかし、ならした状態を想定して超えてなさそうであれば良いでしょう。また、リアサスペンションの下がり具合を見れば、過積載になっていると通常よりも下がっていることがわかります。
制動距離の長さを確認する
前述のとおり、過積載の状態では車両全体が非常に重たくなることから、制動距離も通常よりも長くなります。そのため、制動距離が長くなっていないかどうか確認するのも有効です。
制動距離が長いということは衝突する可能性が高く、さらに衝突時の衝撃も大きくなるため、非常に危険な状態になっていると言えるでしょう。
交通ルールを遵守して安全な運転を目指そう
過積載には目安はありますが、車両ごとに異なっているため、実際に車で荷物を運ぶ場合は車両ごとに仕様を確認して過積載にならないようにする必要があります。
ぜひ本記事で紹介した内容を参考に、道路交通法を守って安全な運転を行うようにしましょう。