運送業で役立つ資格を紹介!必要性や取得するメリットも詳しく解説
- 物流
「運送業に転職したい。有利になるような資格はある?」
「運送業に就くために必要になる資格ってあるの?」
このように、運送業への就職や転職を考えている方でも、どのような資格が必要なのかやどんな資格があれば有利になるのか、分からないことが多いのではないでしょうか。
本記事では、運送業の種類や運送業に就くために資格が必要なのかどうか、運送業で役立つ免許や資格について解説します。また併せて、運送業で資格を取得することのメリットについても解説しています。
この記事を読むことで、運送業についての基本的なことや、運送業に就くために必要な資格や役立つ資格について知ることができるでしょう。運送業で資格を取得するメリットについても把握できるため、資格取得に前向きになれます。
運送業に興味のある方は、ぜひこの記事をチェックしてみてください。
運送業は資格が必要?
運送業とは、荷主から荷物を受け取り、配達先まで荷物を運ぶ仕事です。運送業では多くの場合で自動車を使って荷物を運ぶことから、最低限「普通自動車免許」を取得している必要があると言われています。
もちろん、もっと大きな車や特殊な車を使って荷物を運びたい場合は、それに適した運転資格等が必要です。ただ、普通自動車免許があれば運送業のドライバーには就けるため、それ以外の資格についてはその後に取得を目指してもよいでしょう。
運送業の種類
運送業は、正式には「貨物自動車運送事業」と言います。貨物自動車運送事業の種類は、「貨物自動車運送事業法の第二条」によって「一般貨物自動車運送事業」、「特定貨物自動車運送事業」及び「貨物軽自動車運送事業」の3つに分けられます。
これらの違いは、荷運びを依頼する人によって、あるいは運送するための車の種類によって変わってきます。詳しくは、以下を確認してみてください。
出典:貨物自動車運送事業法 | e-Gov法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=401AC0000000083
特定貨物自動車運送事業
特定貨物自動車運送事業というのはその名前の通り、特定の荷主(単一で特定の)の依頼によって、自動車を使用して貨物運送をする事業のことです。
たとえば、どこかの企業の依頼を受けてその企業の貨物のみを運送するような場合は、こちらの特定貨物自動車運送事業となります。したがって、基本的に特定貨物自動車運送事業を行うのは、メーカーや商社の系列会社となるでしょう。
出典:貨物自動車運送事業法 | e-Gov法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=401AC0000000083
一般貨物自動車運送事業
一般貨物自動車運送事業とは、不特定多数の一般の荷主の依頼に応じて、自動車を使用して貨物を運送する事業のことです。たとえば、一般の人が利用する宅配便がこれにあたるでしょう。もっとも身近な運送業と言えるのではないでしょうか。
ただ、一般貨物自動車運送事業で使用する自動車は、三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車を除いたものが対象となります。
出典:貨物自動車運送事業法 | e-Gov法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=401AC0000000083
貨物軽自動車運送事業
貨物軽自動車運送事業は、他人の需要に応じて自動車を使い、貨物を運送する事業です。
貨物軽自動車運送事業と一般貨物自動車運送事業は似ていますが、貨物軽自動車運送事業で用いられる自動車は三輪以上の軽自動車、及び二輪の自動車に限られるという違いがあります。
つまり、一般の不特定多数の荷物を依頼を受けて有償で運ぶことは一般貨物自動車運送事業と変わりませんが、軽自動車や二輪の自動車を使う場合にはこちらの貨物軽自動車運送事業になるということです。
出典:貨物自動車運送事業法 | e-Gov法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=401AC0000000083
運送業で役立つ運転資格
運送業とは、自動車を使って貨物を有償で運ぶ仕事です。そのため、運送業に就くには運送に使うための自動車あるいは二輪の自動車を運転できなければならず、運転免許が必要になります。
ここでは、運送業で役立つ運転資格について解説します。運送業に就くために最低限必要となる運転免許から、運送業でのキャリアアップのために取得したい運転免許まで解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
出典:道路交通法|e-Gov法令検索サイト
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000105
普通自動車免許
普通自動車免許は、普通自動車を運転するつめに必要な運転免許です。普通自動車免許で運転できるのは、車両総重量3.5トン未満かつ最大積載量2トン未満の自動車に限られ、18歳から取得可能になります。
ただ、普通自動車免許は何度か改正されており、運転できる範囲が変わっていることに注意が必要です。現在(平成29年3月12日以降)普通免許を取得した方は、普通自動車以外は一切運転することができません。
しかし平成29年3月12日以前に普通自動車免許を取得した方の場合は、取得した時期によっては、準中型自動車の一部を運転できる場合があります。
出典:運転免許証と車検証をチェックして運転できるトラックかどうか必ず確認しよう|全日本トラック協会
参照:https://jta.or.jp/wp-content/uploads/2020/11/check.pdf
準中型自動車免許
準中型自動車免許とは、3.5トン~7.5トン、最大積載量2トン~4.5トンまでの自動車を運転するために必要な運転免許です。18歳以上で免許を取得できます。
準中型自動車免許自体は、平成29年3月12日に創設されました。これにより、以前は普通自動車免許で運転できていた自動車も、準中型自動車免許を得なければ運転できなくなっています。
運送業のドライバーになりたいならば、まず取得しておきたい運転免許の1つです。
出典:準中型免許と運転可能な車種について|埼玉県警察
参照:https://www.police.pref.saitama.lg.jp/f0110/menkyo/tyuugata.html
中型自動車免許
中型自動車免許は、中型自動車とされる車両総重量7.5トン~11トン、最大積載量4.5トン~6.5トンまでの自動車を運転するために必要な運転免許です。免許の取得は、20歳以上かつ普通自動車免許等を保有して2年経過している必要があります。
中型自動車と言うとピンとこないかもしれませんが、スクールバスやゴミ収集車などがこちらの中型自動車の範囲です。運転免許を取得すれば、大型自動車ほどではありませんが、それなりに大きなトラックを運転できるでしょう。
出典:準中型免許と運転可能な車種について|埼玉県警察
参照:https://www.police.pref.saitama.lg.jp/f0110/menkyo/tyuugata.html
大型自動車免許
大型自動車免許は、車両総重量11トン以上、最大積載量6.5トン以上の大型自動車を運転するために必要な運転免許です。
大型自動車免許を取得していれば、ダンプカーといった大型の自動車も運転できるようになるため、運送業の仕事の幅が増えます。運送業のドライバーになった場合、最終的に大型自動車を運転することを目指すことになるでしょう。
大型自動車免許の取得には、21歳以上かつ普通免許等を3年以上保有している必要があります。
出典:準中型免許と運転可能な車種について|埼玉県警察
参照:https://www.police.pref.saitama.lg.jp/f0110/menkyo/tyuugata.html
けん引免許
けん引免許は、けん引装置を有する自動車を運転する際に必要になる免許の1つです。けん引する自動車を運転するには、通常の運転免許に加えてけん引免許が必要になります。
たとえば、けん引装置がついているのが大型自動車であれば、けん引免許とともに大型自動車免許が必要です。
ただ、乗車定員1名を乗せた状態で車の総重量が750kg以下の車のけん引、及び故障車をロープやクレーンを使ってけん引する際には、けん引免許は必要ありません。
出典:免許の種類と運転できる自動車など|大阪府警察
参照:https://www.police.pref.osaka.lg.jp/kotsu/untenmenkyo/3/5969.html
運送業で役立つその他の資格
運送業では、運転免許以外にも取得しておけば役に立つ、または転職時に有利になる資格があります。
これから運送業への転職を考えている方だけでなく、すでに運送業でドライバーとして働いている方も、キャリアアップのために、これらの資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。
運行管理者
「運行管理者」というのは、事業用自動車の運転者のスケジュールの作成や休憩・睡眠のための施設の管理、運転者の安全や健康状態の把握といった、事業用自動車の運行を適切に管理するための資格のことです。
一定数以上の事業用自動車を有している営業所は、必ず一定数の運行管理者を置かなければならない、とされています。運行管理者の資格を得るには、基礎講習の修了または運行管理に関する1年以上の実務経験が必要です。
出典:運行管理者とは|公益財団法人 運行管理者試験センター
参照:https://www.unkan.or.jp/about.html
運行管理補助者
運行管理者には、運行管理を補助する者として「運行管理補助者」を選任できる補助者制度があります。
運行管理補助者は運行管理者に代わり、点呼に関する業務や運行管理者が実施する業務の補助をします。運行管理補助者は基本的に、運行管理者の不在時に業務を補助する役割になるでしょう。
運行管理補助者に選任できるのは、基礎講習を修了しているか、運行管理者資格者証の交付を受けた人に限られます。
出典:5.運行管理制度-1|国土交通省
参照:https://www.mlit.go.jp/common/000028474.pdf
整備管理者
「整備管理者」というのは、運送業にて使われる自動車等を適切に整備、管理する人が持つ資格です。事業用トラックを保有する場合、トラック5台以上で整備管理者の選任が必要になります。
整備管理者として選任するには、働いている会社で整備管理者として整備する予定の自動車と同じ種類の自動車を2年以上点検、整備している上で地方運輸局が行う研修を修了した人か、3級以上の自動車整備士技能検定合格者でなければなりません。
出典:整備管理者制度の概要|国土交通省 中部運輸局
参照:https://wwwtb.mlit.go.jp/chubu/gian/hoan/s_kanrisya_gaiyou.pdf
危険物取扱者
「危険物取扱者」というのは、ガソリンや化学物質といった危険物を取り扱う国家資格のことです。運送業においては、危険物取扱者の資格があれば、ガソリンや化学物質等の危険物を運送可能になります。
危険物取扱者には、甲種・乙種・丙種といった種類があり、それぞれの資格によって扱える危険物が変わってきます。乙種及び丙種の危険物取扱者には、受験資格はとくにありません。
甲種を受験する場合は大学等で化学に関する学科等を修めて卒業しているか、大学等で化学に関する授業科目を15単位以上修得した者か、乙種危険物取扱者免状所持者(実務経験が必要な場合もあり)、化学の修士または博士を取得している必要があります。
出典:危険物取扱者について|一般社団法人 消防試験研究センター
参照:https://www.shoubo-shiken.or.jp/kikenbutsu/annai/qualified.html
倉庫管理主任者
「倉庫管理主任者」は、倉庫を適切に管理するための資格のことです。運送業者の中には自社で倉庫を保有しているところがあるため、そういった会社で重宝される資格になります。
倉庫管理主任者へ選任するには、倉庫管理業務に対する一定の実務経験を有するか、国土交通大臣の定める倉庫の管理に関する講習を修了していなければなりません。倉庫管理主任者資格を得たい場合は、未経験者でも可能な講習の修了を目指してみましょう。
出典:倉庫管理主任者講習について|一般社団法人 日本倉庫協会
参照:https://www.nissokyo.or.jp/seminar_info/
高圧ガス製造保安責任者
「高圧ガス製造保安責任者」というのは、高圧ガスを取り扱う、運送するために必要になる資格の1つで、バルクローリーに乗車するために必要です。タンクローリーに乗車可能になる「高圧ガス移動監視者」と共に取得しておくと、運送業でできる仕事の幅が広がることでしょう。
高圧ガス製造保安責任者免状には、甲種2種類、乙種2種類、丙種2種類、第一種~第三種までの冷凍機械責任者の9種があります。免状の種類によって取り扱えるものが変わるため、必要な免状を取得するようにしましょう。
出典:国家資格の概要及び職務範囲|高圧ガス保安協会
参照:https://www.khk.or.jp/qualification/national_qualification/examination/examination_range.html
フォークリフトの運転免許
フォークリフトとは貨物の積み下ろしに使われる乗り物で、乗務するためには「フォークリフトの運転免許」が必要になります。運送業でフォークリフトを使う機会が多いこと、資格取得が比較的に用意であることから、ぜひ取得しておきたい資格の1つとなっています。
フォークリフトで構内作業する場合、最大荷重が1トン未満のフォークリフトならば事業者が行うフォークリフトの運転業務に関する安全又は衛生のための特別な教育を受ける必要があり、最大荷重1トン以上ならばフォークリフト運転技能講習を修了している必要があります。
なお、公道を走る場合は普通自動車免許や小型特殊自動車免許、大型特殊自動車免許等も必要になります。
出典:フォークリフトの運転免許/資格|一般社団法人 日本産業車両協会
参照:http://www.jiva.or.jp/safty/qualification.html
クレーンの運転士免許
クレーンの運転士免許は、クレーンを運転する際に必要になる資格です。
つり上げ荷重が5トン未満や、5トン以上でも跨線テルハならばクレーンの運転の業務特別教育、5トン以上の床上操作式ならば床上操作式クレーン運転技能講習を受けることで運転可能になります。
つり上げ荷重が5トン以上(床上運転式も含む)の運転になると、限定なしのクレーン・デリック運転士免許やクレーン限定のクレーン・デリック運転士免許、床上運転式クレーン限定のクレーン・デリック運転士免許等が必要です。
出典:クレーンの資格・教育|一般社団法人 日本クレーン協会
参照:http://www.cranenet.or.jp/sikaku/crane.html
運送業で資格取得するメリット
運送業で働くためには、最低限必要となる資格だけでなく、さまざまな資格があります。そして、役立つ資格を取得した場合にはきちんとメリットがあります。
ここでは、運送業で役立つ資格を取得することにどんなメリットがあるのか、解説していきます。
- 転職や就職が有利になる可能性がある
- 給料アップにつながる場合がある
- 開業も可能である
転職や就職が有利になる可能性がある
運送業に転職や就職する場合、資格があると有利になる可能性がかなり高いでしょう。
ただ、運送業でドライバーとして働くためには、普通自動車免許はほぼ必須レベルと言えます。そのため、普通自動車免許ではあまり有利にはならないでしょう。中型もしくは大型自動車免許や、運行管理者や整備管理者といった役立つ資格を得ておくことをおすすめします。
給料アップにつながる場合がある
仕事に活かせる資格を得ていた場合、資格手当がもらえて給料アップにつながる場合があります。たとえば、運行管理者資格の場合は月5千円~1万円程度の手当てがつくことが多いようです。
また、普通自動車免許だけでなく準中型や中型、大型自動車免許など大きな自動車を運転できるようになることでも、給料アップにつながります。小型のトラック運転手よりも、大型トラック運転手の方が給料は高くなるためです。
関連記事:「運送業及び運送ドライバーの年収を様々な観点から比較|高い収入を得る方法も解説」
開業も可能である
運送業に関する資格を取得しておけば、将来的に独立して開業も可能になります。
運送業で開業するには、運行管理者や整備管理者などの資格が必要になります。そのため、運送業で働いている最中にこれらの資格を取得しておけば、いざ自分で開業しようとなった際にあらためて資格を取得したり、資格を保有する人を雇用したりする必要がなくなるでしょう。
フォークリフトの運転免許や、クレーンの運転士免許もあると便利です。
運送業の将来性は?
近年、技術の進歩によって失われる職業がありますが、運送業はそう簡単にとって代わられることはないと言われています。自動運転システムの研究もされていますが、実用化するにはかなり長い年月と莫大な費用がかかり、現実的ではありません。
また、現在の運送業は人手不足が問題になっています。普通の業界ではリストラが行われることがありますが、運送業に限っては転職の際でも正社員になりやすく、人手不足であることからリストラにあう可能性もほとんどありません。安定して働き続けられる可能性が高い職業です。
運送業に役立つ資格を取得して仕事に活かそう
運送業の資格は、運送業で働くために最低限必要な資格と、仕事の幅を増やしたりキャリアアップに役立つ資格の2種類に分けられます。人手不足の現在では、必要最低限の資格さえあれば、他の資格は働きながら取得することを補助してくれる会社も多くあります。
運送業に役立つ資格を取得して転職を有利にしたり、資格を取得することで自分ができる仕事を増やし、キャリアアップにつなげたりしていきましょう。