物流業界の専門用語31選!基本から倉庫作業に関する言葉まで紹介
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「物流業界で働き始めたけど分からない用語ばっかり!」
「物流業界に興味があるから専門用語を簡単に予習したい」
このように、物流業界で使われる用語の意味が分からなく覚えきれない方や、物流業界について詳しく知りたい方は多いのではないでしょうか。
本記事では、物流業界の基本や、物流倉庫での作業に関する専門用語などを詳しく紹介していきます。
本記事を読み、業界全体の知識を専門用語を通して身につけることで、それぞれの専門用語の意味や物流業界の仕組み、業界全体について詳しく知れることができるため、仕事上での疑問や失敗を減らすことができるでしょう。
物流業界の専門用語について知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
物流倉庫の種類とは?
物流倉庫にはいくつかの種類がありますが、そもそも物流倉庫自体がよく分からない方もいるでしょう。
物流倉庫というのは、商品が生産者から消費者の手に渡るまでに商品を仕分けし、配送する施設です。近年では、技術が進歩しシステム化が進んできたことにより、様々な作業を行える物流倉庫が増えているため、商品の管理方法や作業の内容によって様々な種類の物流倉庫に分類されています。
主な物流倉庫の種類について4つ紹介していきます。
マルチテナント型
マルチテナント型は、名前の通り複数の企業がマンションのように一部のエリアを間借りした状態の物流倉庫で、複数の企業が使えるようにほかの物流倉庫よりも大型となっています。
高度なITインフラを駆使して自動で倉庫を管理しているため、質の高い設備が充実しており、その分、ほかの物流倉庫よりも賃料が高いのが特徴です。
BTS型
BTS型はマルチテナント型と逆の特徴があり、1社に対して構造、立地、面積などすべてを専用でカスタマイズできる物流倉庫となっています。
費用面ではマルチテナント型と比べてコストが高くなりますが、オーダーメイドすることにより構造、立地、面積など様々な部分を最も効率の良いものにできるため、長期的な視点からするとコストが下がる可能性があるでしょう。
DC
DCは、Distribution Centerの略で、日本語で分かりやすくすると在庫型物流倉庫という意味になります。
物流倉庫内で入荷した商品を保管・管理し、注文に応じて出荷を行い、主に卸売業や製造業などで多く使われています。
商品を保管するため、ほかの種類と比べて保管スペースがとても広いのも特徴の1つです。
TC
TCは、通過型物流倉庫と呼ばれています。
通過型のため、物流倉庫内に在庫を保管せず、入荷した商品をすぐに仕分け作業して出荷するのが特徴で、DCよりも作業数が少なく、商品を保管する必要もないため、小規模な施設で運用することが可能です。
ほかの種類の物流倉庫では在庫の保管にコストがかかりますが、TCの場合は保管しないため、保管や梱包などのコストが少なくなります。
物流倉庫で一般的に使用される用語
物流倉庫で一般的に使用される専門用語を紹介していきます。
物流業界ではどの企業でも使用されているため、これから物流業界で働こうと考えている方は、完全にすべての用語を覚えるまでではなく、意味を理解するだけでも物流倉庫の仕組みなどが分かるため、ぜひ参考にしてみてください。
WMS
WMSとは、「倉庫管理システム」という意味で、物流倉庫における入庫、出庫、在庫管理などの様々な作業をデジタルで行えるシステムです。
特に、近年WMSという用語は一般的に使用されるようになり、小売、卸売業、製造業、通販、ECなど、ほぼすべての物流倉庫で導入され、正確性やスピードが向上しています。
WMSを導入することにより、作業員を縮小でき、人件費などのコストも下げられるため、導入することによるメリットは多いでしょう。
入数
入数というのは、1つの箱や袋に入っている商品の数のことを意味しています。そして、1つの袋を「ボール」と呼び、ボールの中に入っている商品を「ピース」と呼びます。
さらに、ボールが複数入っている箱や袋のことを「ケース」と呼び、分かりやすいようにすると「ピース<ボール<ケース」ということになるため、間違いないように注意しましょう。
荷主
商品を供給する者、物流作業を依頼する者のことを指します。
逆に商品の受け取り側を「着荷主」と呼び、荷主のほとんどは個人ではなく企業ですが、一部例外もあり、商品を生産している企業や小売店が荷主になるパターンなどもあります。
荷姿
運送する際の商品の外観、つまりは見た目を指す用語です。
運送時に商品の状態を確認する必要があり、荷姿には様々な種類があるため、それぞれが各々の商品に適した荷姿があります。
具体的にはダンボール、ドラム缶、コンテナ、紙袋、木箱など、それぞれ特徴があるため、荷姿の種類も覚えておくと、とても役に立つでしょう。
RFID
RFIDとは、Radio Frequency Identificationの略で、電波を使うことによって商品や人の識別、情報の保管などを可能にし、非接触で読み書きすることができる画期的な技術です。
RFIDを導入することにより、業務効率化や生産性の向上に繋がるため、多くの企業で導入されています。
具体的な使用例としては、電子情報を記録するICチップ入りのタグを商品に貼り、RFIDリーダーライタで読み取ることで、その商品の情報の保管など様々なことがデジタル上で扱うことができます。
JANコード
JANコードとは、Japanese Article Numberの略で、国際的な商品識別番号のことを意味する用語です。
このJANコードをバーコードリーダーで読み取ることで、どの商品なのかを表示することができるため導入している企業が年々増えています。
企業だけでなく、ここ数年は大型ネットショップなどでの販売の普及により、個人事業主の方も導入しています。
3PL
3PLとは、3rd Party Logisticsの略で、荷主に物流改革を提案し、物流業務を受託し完了することを意味する用語となっています。
物流業界のノウハウを知っている第三者が、ロジスティクスの企画・設計・運営を行うということです。
SKU
SKUとは、Stock Keeping Unitの略で、在庫を管理する際の最小の品目数を数える単位を意味している用語です。
例えば、ボールペンと鉛筆を比べる場合は、商品の種類が違うため「アイテム」という単位になりますが、鉛筆にH、HB、2B、Bの4種類がある場合は「4SKU」となります。
SKUを覚える際は、一緒にアイテムも覚えると分かりやすいため、参考にしてみてください。
物流倉庫の作業に関する用語
物流倉庫の作業に関する用語を紹介していきます。物流倉庫でこれから働きたい方や、スキルアップしたい方の参考になる用語を紹介していくため、ぜひチェックしてみてください。
ピッキング
保管場所にある商品を出荷するために、出荷場所へ集めることを意味する用語です。
出荷作業をする際に、まず保管されている商品をピッキングリスト(出荷指示書)に従って品番と数量を間違わないように確認した上で集める作業から始めます。
初歩的な作業ですが、もしピッキングリストに表示された品番や数量を間違ってしまうと取り返しのつかないことになってしまうため、正確性が求められます。
近年では、システム化の影響でデジタルピッキングシステムなどを使ったピッキングがあるため、以前よりも正確性が向上しており、将来的にピッキングのやり方が変わっていく可能性があるでしょう。
先入れ先出し
先に仕入れた商品を先に出庫して、古い商品から順番に出庫することで保管している商品の品質が長期保管によって劣化するのを防ぐ方法を意味する用語です。
この先入れ先出しの方法は実は社会の至る所で使われており、例えば、コンビニの商品は賞味期限が切れないように前から賞味期限の古い順番に並べられているため、賞味期限の古い商品から手に取れるようになっています。
ほとんどの物流業界で先入れ先出しの方法は導入されており、先程紹介したWMSを使って主に管理されています。
シュリンク包装
シュリンク包装のシュリンクとは「収縮」という意味で、商品を密封や汚れ防止などの目的で透明なフィルムで包装することを意味する用語です。
身近な商品ですと、スマホ、食品、雑貨、瓶、紙パックなどの様々な商品に使われており、シュリンク包装を使うことによって汚れ防止以外にも漫画本の立ち読み防止や異物の混入防止など、様々な効果があるため、特定の商品ではとてもよく使われている包装です。
引き当て
引き当てとは、在庫引き当てと呼ばれることもあり、受注した段階で発注者が注文した在庫をあらかじめ確保しておくことを意味する用語です。
発注者にあたるのは運送作業をする企業や小売店、個人事業主などで、引き当てされていない在庫のことを有効在庫数といいます。
そのため、倉庫の在庫を確認する際は、単純に保管している在庫を確認するのではなく、引き当てされていない有効在庫数で確認します。
物流加工
物流加工とは、商品を物流する段階で商品の価値を高めるために行われる加工全般のことを意味する用語です。
例を挙げると、検品をすることで不良品を除外することや、包装を行う際に説明書やカタログなどを封入するといったことも物流加工で行われ、物流加工を行うことにより商品の完成度が高められます。
商品を購入したお客さんにとっても商品が開けやすく、キレイな状態で商品を手に取れるため、お客さんの満足度にも大きく影響します。
フリーロケーション
フリーロケーションとは、商品の種類に関係なく、倉庫の空いている保管スペースに商品を保管する方法のことを指します。
空いている保管スペースを余すことなく使えるため、保管効率を上げることができ、とても便利な半面、ピッキングをする際に商品を探すのが面倒になるため、デジタルピッキングシステムなどが必要になります。
一長一短なので、使い所を見極めて導入する必要があります。
固定ロケーション
固定ロケーションとは、倉庫の商品の在庫管理を行う際に、SKUごとに保管スペースを固定して保管する方法のことを指します。
固定ロケーションの場合、前述したフリーロケーションとは真逆で、デジタルピッキングシステムが導入されていなくても商品の保管スペースが固定されているため、ピッキングを行いやすくなるでしょう。
ですが、商品の保管スペースが分かりやすい反面、保管スペースが空いていたとしてもそこにほかの商品を置くことが不可能であるため、保管スペースが余ってしまいます。
ダブルトランザクション
ダブルトランザクションとは、物流倉庫をピッキングエリアとストックエリアの2つの保管ゾーンを分けて運用することを指す用語です。
ピッキングエリアとは、出荷をする際にピッキングをする場所で、ストックエリアは商品をケースやパレットなどの大きな荷姿で保管しておく場所になります。
物流倉庫でよく耳にする用語
物流倉庫で一般的にもよく耳にする専門用語を紹介していきます。
物流業界ですでに働いている方、働いていないけど興味がある方の参考にもなるため、ぜひチェックしてみてください。
マテハン
マテハンとは、マテリアルハンドリングの略で、物流倉庫内の原材料、仕掛品、完成品など、すべてのモノの移動に関わることを意味する用語です。
物流業界では、製造・保管・出荷などの作業を行う際に、モノの移動が必須になってくるため、モノの移動をより効率的に行えるように情報管理することをマテハンと呼びます。
実際に使われる代表的なマテハンには、パレットやフォークリフトなどがあるため、あらかじめフォークリフトの免許を教習所で取得しておくと就職などに活かせるでしょう。
SCM
SCMとは、Supply Chain Managementの略です。原材料などの調達から生産するまでの企業内や企業間のひと繋ぎの取引・作業をチェーンに置き換え、チェーン全体で物流における戦略を行い、様々なムダを減らし利益の向上や経営の効率化をする用語です。
EDI
EDIとは、Electronic Data Interchangeの略で、「電子データ交換」という意味になります。
受注・発注した際に必要になる帳簿や請求書などの書類をデータでスムーズに共有することが可能になる方法です。EDIを導入することにより、これまで手作業で行っていた業務がすべて効率的になり、書類の作成や郵送作業する際のコストも軽減できるようになります。
オリコン
オリコンとは、折りたたみコンテナの略で、普通のコンテナと違い使う必要のないときは折りたたんで保管することが可能なコンテナのことを指します。
オリコンを使うことで、普通のコンテナよりも運搬作業が楽になり、保管スペースを余分に空けることができるため、多品種・小ロットの商品を取り扱う物流倉庫で多く使用されています。
コンテナ
コンテナとは、標準化された形態で運送・輸送を行う際に使われる容器のことを指します。
材質は様々で、鉄製、アルミ製、FRP(繊維強化プラスチック)などがあり、それぞれの用途に応じた強度のコンテナで運送・輸送を行います。
バーコード
物流業界におけるバーコードとは、私たちが普段生活する中でよく見かける商品のバーコードとほとんど遜色ないものです。
物流でのバーコードは、その商品のメーカー番号や商品番号、国番号などを管理する際に使われ、JANコードなどを使うことにより、商品の管理・保管に関する情報が瞬時にデジタルで行えるため、ほとんどの物流倉庫で使われています。
公共倉庫
公共倉庫とは、主要な港湾地帯に建設し、海外などの海陸連絡荷物の一時保管や通関する際に一時保管する保税倉庫のことを指す用語です。
この際に使われる保税倉庫というのは、外国から届いた貨物・荷物に課される関税、輸入税を一時的に保留し保管する倉庫で、保税倉庫に貨物・荷物が保管されている状態で、無断で販売したり移動したりすることはできなくなっています。
指定保税地域
指定保税地域とは、外国から届いた貨物・荷物に課される関税・輸入税を一時的に保留する地域のことです。国や地方公共団体などが所有・管理しており、財務大臣が指定した場所となっています。
保税地域はほかにも様々な種類がありますが、指定保税地域は必ず国際物流で利用される地域です。また、税関手続きを簡素化、迅速化するために、税関の近くに設置されています。
ラック
ラックとは、商品などを保管する際に使われる棚のことを指します。
積載する荷重により軽量・中量・重量の3種類に分かれ、さらにパレットラック、回転ラック、移動ラック、積層ラックなど、それぞれの用途に合わせた種類があります。
フォークリフト
フォークリフトとは、車体の前方に荷物を上げ下ろしするためのツメ(フォーク)があり、油圧を利用することで昇降や傾斜などの細かい動きが可能な乗り物で、物流倉庫内で重い荷物を運ぶ際に使用されます。
荷物の積み下ろしだけでなく、ピッキング作業、仕分け作業、出荷補助など、様々な作業ができるため、物流業界では必須の乗り物です。
フォークリフトを操縦する際には、指定された教習所で技能講習を受け、「技能講習終了書」を取得していないと扱うことができないため、物流倉庫で働く方は一部を除いて必須の免許になるでしょう。
パレット
パレットとは、物流倉庫やコンテナなどの荷物を乗せる際に使われる荷台のことを指す用語です。
パレットは横面の両サイドに差込口があるため、その差込口にフォークリフトのフォークを差し込むことで荷物の移動や上げ下げができ、フォークリフトとパレットはセットで成り立ちます。
パレットの素材には様々な種類があり、プラスチック製、木製、金属製など、種類によって強度や生産・廃棄する際のコストが変わってくるため、荷物によって素材を変える必要があります。
2S
2Sとは、整理整頓の「整理」と「整頓」の頭文字を取ってSが2つあるため2Sと呼ばれており、2S=整理整頓という意味になります。
物流倉庫の作業をする際に、2Sはとても大切になります。
2Sをすることで、保管されている商品を探しやすく、無駄な時間を削減でき、環境が整うことにより仕事に集中しやすくなるため、一人一人の仕事のパフォーマンスが向上するでしょう。
5S
5Sとは、先ほど紹介した2Sにさらに3つのSを加えたもので、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾」の頭文字を取って5Sという意味の用語です。
5Sができていないと作業現場が汚い、荷物が探しづらいなど、作業環境がとても働きづらい環境になり、モノやサービスの質にも影響するため、最終的に顧客の信頼を失うことに繋がってしまうでしょう。
オムニチャンネル
オムニチャネルとは、あらゆるチャネル(流入経路)で顧客との接点を持つことで、購入経路を意識することなく、現実の店舗・オンライン店舗を使えるようにする販売戦略のことを指す用語です。
インボイス
インボイスとは、貨物の輸出・輸入を行う際に使われる送り状のことを指す用語です。
インボイスには、商品コード、商品名、代金の支払方法など商品に関する情報が記載されており、明細書代わりとしても使われます。
物流業界の専門用語を覚えよう
物流業界はとても大きい業界であるため、初めての方は分からないことだらけで混乱し、仕事をする際にミスをしてしまう可能性があります。
流業界の中でも、物流倉庫に関連するのか、運送業務に関連するのかなど、小さい業界がいくつもあるため、「自分が働きたい」または「自分が働いている」周辺の知識やノウハウを専門用語を通して勉強すると失敗しにくいでしょう。
本記事で紹介した専門用語に関連した用語もたくさんあり、合わせて覚えることでより理解が深まるため、ぜひ新しい専門用語も覚えていきましょう。