運行管理者の給料と年収の実態を徹底解説│転職やスキルについても紹介
- 物流
物流業界において運行管理者の存在は欠かせません。
物流の運行を担っている運行管理者の給料や年収はどれぐらいなのでしょうか。
本記事では、運行管理者の給与と年収の実態、転職やスキルについて詳しく解説します。
運行管理者の役割と必要なスキル
運行管理者の役割と必要なスキルについてみていきましょう。
運行管理者とは何か?
運行管理者は、ドライバーの健康や勤務体系を管理し、
安全に適切な運行業務が行なわれるよう指揮する役割を担っています。
近年、運送業の需要は高まっている一方、大型トラックやバスの事故はなくなりません。
事故の原因は、ドライバーの疲労による居眠り運転や病気など多岐に渡ります。
事故を起こしてしまうと、ドライバーはもちろん、
一般市民まで巻き込んでしまう可能性が高いです。
事故を発生させないためにも、
運行管理者はドライバーの安全管理を行なわなければなりません。
運行管理者の仕事内容については、株式会社ジャパン・リリーフの
「運行管理者の仕事内容とは?メリットや資格取得までの流れもあわせて紹介」の
記事も役に立ちますので、合わせて参考になさってください。
必要な資格とスキル
運行管理者は資格が必須です。
運行管理者が、トラックやバスといった
事業用自動車が安全に運行できるよう
管理指導をする重要な職務を担うため、国家資格となっています。
貨物、または旅客の「運行管理者資格者証」という資格証を交付された人だけが、
運行管理者として勤務できます。
運行管理者の一日
運行管理者の一日についてみていきましょう。
スケジュールの管理
荷物には納期が定められています。
運行管理者は、ドライバーが納期までに配送できるようスケジュールを作成します。
スケジュールを作成するにあたっては、いくつか考慮すべきことがあります。
まず、走行時間は法律上、4時間以上の連続走行は禁止されています。
そのため、配送時間が4時間以上になる場合は
休憩時間を加味してスケジュールを組まなければいけません。
また、ドライバーの経験値によって配送時間も異なります。
そのため、担当するドライバーに適したスケジュールを作成することも重要です。
さらに、長距離にわたる配送の場合は、
休憩や睡眠できる施設の管理も運行管理者が行います。
車両管理
トラックの交通事故が起こる原因は、ドライバーだけではありません。
トラック自体に問題がある場合も考えられます。
そのため、事業所が所有する車両に問題が起きないよう、
状態や台数を常に把握しておく必要があります。
例えば、車両の点検が正しく行なわれているかを確認し、結果も把握します。
また、ドライバーが運転中に車両の異変を感じた場合は運行管理者に報告し、
その原因を追究することも業務の1つです。
このようにして、運行管理者は1台1台の状態をきちんと記録し、
管理しなくてはいけません。
また、車両の点検や修理によって、
配送のスケジュールが遅れてしまわないように調整することも重要です。
安全管理
ドライバーが事故を起こすことなく安全な運転ができるように、
運行管理者はドライバーの体調確認や安全に対する意識を指導しなくてはいけません。
体調確認は、乗務前に点呼し、ドライバーの健康状態を確認します。
自己申告だけでなく、運行管理者の目から見ても体調に問題がないか、
ドライバーの顔色や様子を観察します。
また、アルコールチェッカーを使ってアルコール検査を行ない、
結果を記録することも大事な業務です。
ドライバーが安全運転できるように、
意識やスキル向上を目的とした講習やトレーニングも行ないます。
労務管理
ドライバーの勤務時間や残業時間の確認も、運行管理者にとっては欠かせません。
勤務時間や残業時間が法律の基準より超過してしまうと、
ドライバーの疲労や睡眠不足につながり、
結果として重大な事故を起こしかねません。
きちんと守るよう運行管理者が指導、監督をします。
また、ドライバーが勤務時間や残業時間に適した給料をもらえるように
管理する仕事もあります。
配送ルート管理
運行管理者の仕事は、ドライバーの管理だけではありません。
運送業務がスムーズに行なわれるためには、配送ルートを管理することも重要です。
まずは、配送先を確認し、安全面や効率を考えて最も適した配送ルートを考えます。
さらには、最新の道路情報を確認し、ドライバーと共有することも大切です。
例えば、工事情報や天候の状況をみて、
通常の配送ルートを使うと渋滞や危険に巻き込まれる可能性があると判断した場合は、
ドライバーに別ルートを指示します。
そのため運行管理者は、道路情報や天候情報を常に把握しておく必要があるのです。
運行管理者に求められる資質
運行管理者には、法令遵守、安全運行の責任感、判断力、コミュニケーション能力、
計画性などさまざまな資質が求められます。
それだけでなく、運行管理業務の効率化を向上させるために、
最新技術・システムの活用力も必要です。
また、トラブルが生じた場合、原因を分析し、
適切な対応が指示できる力も備わっていなければなりません。
運行管理者の平均年収と初任給
運行管理者の平均年収と初任給についてみていきましょう。
運行管理者の全国平均年収
運行管理者の全国平均年収は、以下の通りです。
雇用形態 | 全国平均年収 | |
正社員 | 中小企業 | 約300万円~約400万円 |
大企業 | 約600万円~約800万円 | |
タクシー会社 | 約350万円~約400万円 | |
アルバイト・パート | 時給約1,000円 | |
派遣社員 | 時給約1,300円 |
日本人の平均年収は461万円ですので、大企業の運行管理者であれば、
日本人の平均年収を上回る収入が得られます。
初任給の目安
運行管理者の初任給は、雇用形態などによって異なりますが、
一般に月給約20万円~約30万円が相場です。
上記の全国平均年収にもあるように、初任給に関しても大企業のほうが、
初任給が高くなる傾向があります。
給料アップの方法とキャリアパス
運行管理者の給料アップの方法と、キャリアパスについてみていきましょう。
~方法①~昇進による給与の増加
運行管理者の給料アップを図るためには、運行管理者としての経験を積み重ねることで、
業務効率化や人材育成の実績が評価されることで、給料アップを図ることが可能です。
経験を積み重ねることで、管理職への昇進・ステップアップも見込めますので、
さらに給与の増加が期待できます。
~方法②~スキルアップや資格取得
上記のように運行管理者経験を積み重ねることでスキルアップを図ることが可能です。
その他に、運行管理者関連の資格として、危険物取扱者、衛生管理者など、
安全管理関連の資格を取得することでキャリアを重ねることができ、
給料アップが図れます。
異業種からの転職戦略
異業種から運行管理者へ転職する場合、
前提として、運行管理者の資格を取得していなければなりません。
その他、前述でお示ししたように、
採用面接時にはコミュニケーション能力が備わっているかどうかも確認されます。
また問題解決能力が備わっていれば、より転職に成功するでしょう。
企業別に見る給与待遇の違い
企業別にみる運行管理者の給与待遇の違いについてご紹介します。
中小企業と大企業の比較
前述のように、正社員の大企業と中小企業の運行管理者の給与待遇は、
大企業で平均年収は約600万円から約800万円、
中小企業で約300万円から約400万円となっています。
このように、同じ正社員であっても、
大企業と中小企業では、年収の差が約300万円から約400万円生じているのです。
ボーナスや福利厚生の実態
正社員の運行管理者において、中小企業の場合は約75万円から約100万円、
大企業の場合はさらに高額なボーナスが期待できます。
また福利厚生においても、中小企業より大企業のほうが充実しているといえるでしょう。
企業選びのポイント
運行管理者の企業選びのポイントについてご紹介します。
労働基準法を遵守しているか
最近では、運行管理者だけでなく、
さまざまな企業で労働基準法が遵守しているかが注目されています。
法令遵守している企業は、労働者も安定して働くことができ、
外部機関から指摘を受けることもありませんので、安心して働くことが可能です。
就職・転職の際は、その会社が労働基準法を遵守しているかどうかを確認しましょう。
福利厚生が充実しているか
前述のように、大企業・中小企業によって給料の差があることをお伝えしました。
給料の差があるにしても、福利厚生は中小企業であっても充実している会社があります。
福利厚生が充実していると、生活面において助かることが多いですので、
就職・転職を考えている会社の福利厚生が充実しているかを
確認することがおすすめです。
今後の運行管理者の市場動向と展望
今後の運行管理者の市場動向と展望についてみていきましょう。
業界全体の成長傾向
運行管理者業界は、物流業界そのものが成長傾向にありますので、
それに伴い今後も安定した需要が見込まれています。
物流業界が成長することで、
ドライバー不足や労働時間規制などの課題も浮き彫りになりますが、
業界全体としては今後も成長が伸びる予想です。
需要の高まるスキル
運行管理者に求められる資質に関しては、前述でお示しした通りです。
今後さらに求められるスキルとしては、道路運送コーナーにも関係法令や、
安全管理、人員管理などの専門知識やスキルが求められるでしょう。
未来の運行管理者の姿
未来の運行管理業務は、従来手作業で行なわれてきた業務が、
IT技術の導入により効率化が図られます。
少子高齢化や労働力不足が進行していますので、IT技術の導入は必須です。
IT技術が導入されることで、運行管理者の従来の仕事にも変化がみられるでしょう。
未来の運行管理者はIT技術と向き合っていける人材が求められるかもしれません。
まとめ
今回は運行管理者の給与と年収の実態、転職やスキルについて紹介してきました。
運行管理者の平均年収は初任給で大体300~400万円ほどです。
それが大手企業や勤続年数が上がってくると400~800万円ほどになったりもします。
400~800万円を目指すためにも運行管理者としてのスキルを磨き、平均年収をアップさせましょう。
ぜひ参考にしてみてください。