ライドシェアとは?日本における相乗り規制と解禁の動向やメリット・デメリット
- その他
「ライドシェアって何?」
「日本でもライドシェアって利用できるの?」
このように、ライドシェアについて詳しくないという人やライドシェアについて詳しく知りたい人もいるのではないでしょうか。
本記事ではライドシェアとは何か、日本におけるライドシェアの規制と解禁といった動向や、ライドシェアの普及状況などについて紹介します。この記事を読むことで、ライドシェアについての知識がついたり、ライドシェアの将来に向けた動向に詳しくなれるでしょう。
また、ライドシェアのメリットやデメリットも紹介しています。実際に利用する際の参考にもなるでしょう。
ライドシェアについて興味のある人は、ぜひこちらの記事をチェックしてみてください。
ライドシェアとは
ライドシェアという言葉は英語にすると「Ride Share」であり、Rideは「乗る」でShareは「共有」を意味することから、「相乗り」という意味になります。
日本でも近年、「ライドシェア」を利用する人が増えてきました。しかしライドシェアは具体的にどういったものかご存じでしょうか。
ここではライドシェアとは何なのかを紹介するので、参考にしてみてください。
アプリなどを使った車の相乗り・配車サービス
ライドシェア(Ride Share)は、自動車の相乗りサービスで、空いた座席を他の利用者とシェアし、交通費を節約する仕組みです。
この概念は欧米で広く普及しており、インターネットの進化によって事業化が進展し、「Uber(ウーバー)」などのアプリサービスが登場しました。
ライドシェアは、交通手段としての利便性だけでなく、環境への配慮やCO2排出の削減など、持続可能な移動方法としても注目を浴びています。シェアリングエコノミーの一環として、効率的な車の利用と都市の交通環境改善に貢献しています。
出典:会社概要 | Uber
参照:https://www.uber.com/jp/ja/about/?uclick_id=2827f2d0-1de7-4099-bfef-93628396c3ca
ライドシェアとカーシェアリングとの違い
ライドシェアと混同されやすいものに、カーシェアリングがあるでしょう。この2つには、ライドシェアがアプリで運転手と相乗り希望者をマッチングさせるのに対して、カーシェアリングは車の貸し出しを目的として運転手とマッチングさせるという違いがあります。
また、ライドシェアは基本的に運転手自身の自家用車に相乗りするのに対して、カーシェアリングは事業者が提供する車を貸し出してもらうという違いもあるでしょう。ライドシェアとカーシェアリングは、それぞれまったく違うサービスになっています。
日本におけるライドシェアの規制と解禁の動向
ライドシェアは車の保有者である運転手と相乗り希望者をマッチングさせるサービスですが、実際に利用したことがあるという人は少ないでしょう。これには理由があります。
ここからは、日本におけるライドシェアの規制と解禁の動向について紹介します。日本でのライドシェアは現在どのようになっているのか、どういったことが規制されているのか、ライドシェアに関する知識を深めましょう。
白タクは原則禁止
ライドシェアでは相乗りさせた際、相乗りさせた人から報酬を受け取ることができます。しかし日本では一般人が自家用車を用いて有償で他人を運送することは、「道路運送法の第七十八条」により、原則「白タク」行為として禁止されています。
「白タク」は合法なタクシーと異なり、自家用車を使い、白いナンバープレートを持つ違法なタクシーのことを指します。営業許可を受けずに運行するため、安全性が低く、違法行為につながりかねません。
合法なタクシーは緑のナンバープレートを使用しますが、「白タク」はそのままの白いナンバープレートを使っていることが特徴です。
有償でのライドシェアは、この白タク行為にあたると考えられているのです。
出典:道路運送法 第七十八条|e-Gov法令検索サイト
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326AC0000000183
出典:経営許可(法第4条) ~『緑ナンバー』と『白ナンバー』~|国土交通省 九州運輸局
参照:https://wwwtb.mlit.go.jp/hokushin/content/000104019.pdf
交通空白地や福祉のための自家用有償旅客運送
日本では、交通空白地や福祉のための「自家用有償旅客運送」であれば、過疎地域での運送が認められています。交通空白地とは、電車の駅やバス停などが一定の距離になく、地域の公共交通が利用しにくい地域を指します。
道路運送法により有償でのライドシェアは原則禁止と紹介してきましたが、原則というように、全て禁止されている訳ではありません。
この他に、豪雨や地震、火災といった災害が起こって緊急を要する際にも、有償での運送は認められています。
出典:道路運送法 第七十八条|e-Gov法令検索サイト
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326AC0000000183
特区制度を活用した外国人観光客を対象としたライドシェア
原則として有償でのライドシェアが規制されている一方で、特区制度を活用した事業として、自家用車を用いた有償でのライドシェアが始まっています。
これは「国家戦略特区法の第十六条の二の二(道路運送法の特例)」によるもので、主に訪日外国人を対象に解禁されているものです。運送対象が地域住民ではなく、外国人観光客であることには注意が必要でしょう。
出典:国家戦略特区法|e-Gov法令検索サイト
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=425AC0000000107
タクシー会社等が協力する有償旅客運送制度の創設
道路運送法の改正により、2020年11月からバス・タクシー会社が協力する「事業者協力型自家用有償旅客運送制度」が創設されました。
これは交通空白地や福祉のため、一般旅客自動車運送を行っているバス・タクシー会社が運行管理や車両整備管理について協力して行うというものです。
この有償旅客運送制度の創設により、既存の交通事業者ではカバーしきれない移動ニーズをカバーすることを目的としています。
出典:自家用有償旅客運送ハンドブック|国土交通省自動車局旅客課
参照:https://www.mlit.go.jp/common/001374819.pdf
ライドシェアの普及状況
日本では道路運送法による規制があり、原則自家用車による有償運送は白タク行為として禁じられています。しかし交通空白地域や福祉のために解禁されている地区や、訪日外国人向けに解禁されている場合もあります。
ここからはライドシェアの普及状況について、世界と日本の状況をそれぞれ紹介します。
出典:道路運送法 第七十八条|e-Gov法令検索サイト
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326AC0000000183
出典:国家戦略特区法|e-Gov法令検索サイト
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=425AC0000000107
世界各国の状況
世界各国では、ライドシェアの普及はどんどん加速しています。
普及している理由には、運転手と利用者それぞれが相互評価するシステムが与える安心感やライドシェアする前に到着時刻や必要な料金が共有できるといった利便性の高さが影響しているでしょう。
運転手と相乗りの同乗者をマッチングさせるサービスとして、アメリカの「Uber(ウーバー)」や中国の「滴滴出行(ディディ チューシン)」などが有名です。
出典:会社概要 | Uber
参照:https://www.uber.com/jp/ja/
出典:会社情報 | DiDiモビリティジャパン株式会社
参照:https://didimobility.co.jp/
日本の状況
日本でのライドシェアの普及は、遅れています。これはやはり、日本では白タク行為が原則禁止されているといったことが理由にあるでしょう。Uberも首都圏の一部におけるタクシー等の配車サービスにとどまります。
しかし、日本でも将来的には世界各国と同様にライドシェアが普及する可能性があるでしょう。
これはインバウンドが回復傾向にある影響でタクシーが不足している地域があること、運転手不足を補うことなどが目的です。
出典:道路運送法 第七十八条|e-Gov法令検索サイト
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326AC0000000183
ライドシェアのメリット
ここからは、ライドシェアのメリットについて紹介します。
日本でのライドシェアの普及が遅れている一方で、世界では普及が加速しているのが現状です。これは、ライドシェアには魅力的なメリットがあることが理由でしょう。
提供者(運転手)のメリット
ライドシェアで自家用車を提供する運転手のメリットは、保有する自家用車の活用ができることと、手軽に働けることでしょう。
また、ガソリン代や高速代、駐車料金といった経費を同乗者たちと割り勘にできるため、移動にかかる費用を抑えられるというメリットもあるでしょう。
同乗者のメリット
ライドシェアは、他人の車に同乗して相乗りする人にもメリットがあります。一般的にライドシェアの方がタクシーより割安で、移動にかかる費用が節減できるでしょう。
上記以外にも相乗りすることで会話がはずんだり、運転手の都合にもよりますが、より自分の目的地に近い場所まで運んでもらったりすることも可能でしょう。
また駅やバス停から目的地まで距離がある場合には、ライドシェアを利用した方が利便性が高いでしょう。
ライドシェアのデメリット
運転手にも同乗者にもメリットのあるライドシェアですが、デメリットがあります。以下ではライドシェアのデメリットについて紹介しますので、参考にしてみてください。
ライドシェアについて知りたい場合や、ライドシェアを利用したい場合には、メリットだけでなくデメリットについての情報もしっかり調べてから利用するようにしましょう。
提供者(運転手)のデメリット
ライドシェアの提供者、運転手のデメリットは、もし万が一事故に遭った際には補償を満足に受けることができず、職を失ってしまうリスクがあることでしょう。
通常、有償で旅客運送をしているタクシーであれば、タクシー会社が加入している自動車保険から補償を受けることが可能です。
しかしライドシェアの場合は明確なルールがなく、運転手本人が加入している自動車保険から補償を受けることになるでしょう。保険内容によっては、満足に補償してもらえない可能性もあります。
同乗者のデメリット
他人の車に同乗することになるライドシェアの同乗者のデメリットは、運転手の質や信頼性が一定に保たれておらず、不確かであることに注意しなければならないことでしょう。
ライドシェアが普及している世界各国では既に、ライドシェアの運転手による同乗者への暴行や誘拐といった犯罪が発生しているようです。タクシー運転手ではないため運転技術が担保されておらず、危険な運転で同乗中に危険な目に遭う可能性もあります。
ライドシェアは今後普及が期待される有効な交通手段
ライドシェアは目的地が同じ車に同乗者を乗せることで、運転手と同乗者それぞれがガソリン代や高速代といった費用を割り勘で節約できるという、メリットを受けられる交通手段です。
日本では規制の影響からまだまだ普及が進んではいませんが、今後解禁されてさらに普及していくことが期待されています。