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2024年問題で残業代が減る?残業時間と給料の変化シミュレーションやできる対策をご紹介

  • トラックドライバー
  • 物流

「2024年問題で何か変わるの?」
「ドライバーにメリットはあるの?」
「残業時間が減るなら残業代も減るの?」
現役ドライバーの方やドライバーを目指している方には、このような疑問を持たれることもあるのではないでしょうか。

 

本記事では、2024年問題によってドライバーの労働環境や待遇が、どのように変化するのか、その変化が残業代や給料に与える影響を解説しています。

 

この記事を読むことで、2024年問題についてドライバーが知っておきたい知識や2024年問題への企業の対策がわかります。今後の残業代のシミュレーションもしていますので、より理解を深めることができるでしょう。

 

現役ドライバーの方、これからドライバーの仕事を始めようとお考えの方は、ぜひ読んでみてください。

2024年問題の「改善基準告示」の改訂で残業代は増える?

これまでは、ドライバーの残業時間に規制はありませんでしたが、2024年4月からは年960時間に規制されることになりました。今まで規制以上の残業をしていたドライバーは、残業代が減る可能性があります。

 

ただし、この点についてはすでに改正が行われています。2023年3月31日までは時間外労働の割増賃金率が、残業時間に関わらず25%(中小企業の場合)でした。

 

しかし、2023年4月からは、一人当たりの1か月の残業時間が60時間を超えた部分については、時間外労働の割増賃金率が50%になります。

 

この改正は、大企業、中小企業問わず対象です。これにより残業時間は減るものの、残業代が変わらない、または増えるという可能性があるでしょう。

 

出典:2024年(令和6年)4月1日から自動車運転の業務にも上限規制が適用されます!!|厚生労働省
参照:https://jsite.mhlw.go.jp/chiba-roudoukyoku/content/contents/000970586.pdf

 

出典:2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます|厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/content/000930914.pdf

2024年問題でドライバーの残業代が変わる4つの要因

ドライバーの残業代に影響を与える要因は、残業時間が減ることだけではありません。企業側の2024年問題への対策や基準の見直しが残業代に影響を与えることもあります。

 

以下で具体的な要因を解説していくので、参考にしてみてください。

残業時間が減る

年960時間の残業時間の規制には罰則が設けられており、これに違反した場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金となります。そのため、企業側が残業時間を減らすための対策を講じる必要があるでしょう。

 

出典:2024年(令和6年)4月1日から自動車運転の業務にも上限規制が適用されます!!|厚生労働省
参照:https://jsite.mhlw.go.jp/chiba-roudoukyoku/content/contents/000970586.pdf

 

出典:時間外労働の上限規制わかりやすい解説|厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/content/000463185.pdf

30分以上の待機時間が減少する

2017年11月4日からトラック運送の運賃・料金の収受ルールが変わり、待機時間料が新たに規定されました。荷主側の都合で待機時間を超える場合には、待機時間料が発生します。

 

待機時間料が発生しないように、荷主側で待機時間を30分以内に抑えるための対策が講じられる可能性があります。

 

出典:平成29年11月4日よりトラック運送における運賃・料金の収受ルールが変わりました。|国土交通省
参照:https://www.mlit.go.jp/common/001236734.pdf

運転の中断の分だけ休憩時間が増える

4時間を超えて運転をする場合には、30分休憩をする決まりがあります。これまで、この30分の休憩内に、荷下ろしや待機等の作業が含まれていた場合がありました。つまり休憩とは言っても、ドライバーは十分な休息を取れてなかったということです。

 

しかし、今後は原則として休憩のみに時間を充てる事とし、純粋な休憩時間が増えることになりました。

 

出典:トラック運転者の改善基準告示(2024年4月1日施行)|厚生労働省
参照:https://jsite.mhlw.go.jp/hokkaido-roudoukyoku/content/contents/001383159.pdf

労働環境や待遇が改善される可能性がある

ドライバーの残業時間や待機時間の減少、休憩についての見直しにより、労働環境や待遇が改善される可能性があります。

 

また2024年問題の影響で、行政の監査が以前より厳しくなることも予想され、あいまいだった労働時間が明確化されることも期待できるでしょう。

2024年問題の残業代減少に対する企業の対策

時間外労働の割増賃金率が60時間を超えた部分が25%から50%に引き上げられるということは、企業側にとっては人件費が増える要因です。

 

そのため、企業側が一人当たりの1か月の残業時間が60時間を超えないよう、人員不足を出さない対策をすることが重要になります。

 

また、これまで60時間を超えていた人の残業時間を60時間以下までに減らす必要もあるでしょう。

 

それと同時に人件費が増えた場合の対策として、財源確保のために単価を上げ、輸配送の売上を向上させていくことも検討すべきポイントです。

 

出典:2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます|厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/content/000930914.pdf

業務の効率化・生産性向上で残業時間を減らす

業務の効率化には、リレー配送を導入して輸配送方法を変更する、高速道路の活用など経路を見直す、荷物の積み込みにフォークリフトを利用して機械化するなどの方法があります。

 

また、生産性向上の施策としては荷物の梱包を最適化させ、トラックの積載率を向上させることが挙げられます。

 

これらの方法を導入すれば、残業時間を減らすことができるでしょう。

勤怠管理を強化して無駄な残業時間を減らす

残業時間が60時間を超えないためには、無駄な残業時間を減らすことが大切です。そのために、評価方法を改定して、労働者が効率よく業務をこなしている場合には給料に反映させるなどで、労働者自らが残業時間を減らすようにする方法があります。

 

また、残業を許可制にするという方法もあります。残業を申請する際に、時間や内容、必要性を申告させ、必要がないと判断すれば許可をしないことで、無駄な残業時間を減らすことが可能でしょう。

ドライバーを確保して一人当たりの残業時間を減らす

ドライバーを確保するためには、すでに働いているドライバーの退職や転職を防ぐことが大切です。そのために、労働環境や給料を増やすなど、待遇の改善が重要となってきます。

 

加えて、ドライバーを確保するために、新たにドライバーを雇うことも必要になります。その場合、短時間勤務での雇用や副業として行うドライバーを雇う企業もあるでしょう。

荷主に運賃を高くするように交渉する

新たにドライバーを雇ったり、ドライバーの給料を増やしたりすることで離職を防ぐには、財源の確保が重要です。そのために、荷主に運賃を上げられるか交渉し、単価を上げる企業努力が求められていくでしょう。

 

2020年4月に国土交通省が標準的運賃の設定を行いました。また、2024年3月には標準的運賃を8%引き上げる告示がされました。現在の運賃が適正価格と合っていない場合には、荷主と交渉をする余地があります。

 

出典:標準的な運賃について(告示:令和2年4月24日)|国土交通省
参照:https://wwwtb.mlit.go.jp/tohoku/mg/kyg_14_09.pdf

 

出典:新たなトラックの標準的運賃を告示しました |国土交通省
参照:https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001732087.pdf

ドライバーの給料がどう変わるかをシミュレーションする

厚生労働省が時間外労働の割増賃金率の引き上げを行いました。

 

企業によっては、時間外労働の対策として、残業時間が60時間を超えないように調整する可能性があります。

 

以下で、そのようなケースも含めて、残業代や給料がどう変わるのかケース別でシミュレーションしていきます。

 

出典:2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます|厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/content/000930914.pdf

残業時間が60時間以下に減って給料が減るパターン

仮にこれまで1か月の残業時間が100時間であるとして、今後60時間に減少する場合には、以下のように変わります。

 

・これまでの1か月の残業代
時給2,000円×1.25倍×100時間=250,000円

 

・今後の1か月の残業代
時給2,000円×1.25倍×60時間=150,000円

 

残業時間の減少により、100,000円給料が減ることになります。

 

出典:2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます|厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/content/000930914.pdf

 

出典:しっかりマスター労働基準法-割増賃金編-|東京労働局
参照:https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000501860.pdf

残業時間がそのまま60時間以上のままで給料が増えるパターン

仮にこれまでと同様に今後も残業時間が100時間の場合は、時間外労働の割増賃金率が引き上げられたことで、以下のように変わります。

 

・これまでの残業代
時給2,000円×1.25倍×100時間=250,000円

 

・今後の残業代
時給2,000円×1.25倍×60時間=150,000円
時給2,000円×1.5倍×40時間=120,000円

 

合計270,000円です。これまでと比較すると、20,000円給料が増えることになります。

 

出典:2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます|厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/content/000930914.pdf

 

出典:しっかりマスター労働基準法-割増賃金編-|東京労働局
参照:https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000501860.pdf

残業時間が60時間以下のままで給料が変わらないパターン

仮にこれまでと同様に今後も1か月の残業時間が60時間以下の場合は、残業についての改正がないため、これまでと同様の残業代になります。

 

・残業代
時給2,000円×1.25倍×60時間=150,000円

 

出典:2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます|厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/content/000930914.pdf

 

出典:しっかりマスター労働基準法-割増賃金編-|東京労働局
参照:https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000501860.pdf

残業が認められなかった場合の対策と残業代の計算方法

残業が認められない場合には、タイムカードや運転日報などで実際の労働時間に関する証拠を集めます。

 

その後、未払いの残業代を計算したあと、請求を内容証明で会社に送り、話し合いを行われるでしょう。

 

話し合いがまとまらない場合には、労働審判や訴訟によって解決することも検討します。

未払い残業代と深夜手当を計算する方法

残業した時間帯が深夜手当(22時~5時まで)の付く時間帯の場合、残業代と深夜手当は重複して適用が可能です。また、60時間以下と60時間超えでは時間外労働の割増賃金率が異なります。細かく分けて計算が必要です。

 

・残業代のみ

 

1か月の残業時間が80時間の場合
時給2,000円×1.25倍×60時間=150,000円
時給2,000円×1.5倍×20時間=60,000円

 

・深夜手当のみ

 

深夜に1か月30時間働いていた場合
時給2,000円×0.25倍×30時間=15,000円

 

・残業代+深夜手当

 

残業時間が月80時間で、うち月30時間が深夜に働いていた場合
時給2,000円×1.25倍×50時間=125,000円
時給2,000円×(1.25+0.25倍)×10時間=30,000円
時給2,000円×(1.50+0.25倍)×20時間=70,000円

 

出典:2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます|厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/content/000930914.pdf

 

出典:しっかりマスター労働基準法-割増賃金編-|東京労働局
参照:https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000501860.pdf

未払い残業代と深夜手当を転職するときに請求する

待機時間や渋滞に巻き込まれた時間などが、未払い残業代や深夜手当になっている可能性があり、転職時に請求することができます。

 

なお、残業代や深夜手当は3年以内に請求しなければなりません。3年以内に請求しないと請求する権利がなくなります。言いかえれば、転職時に請求する場合は、その時から3年前までの未払い残業代や深夜手当をさかのぼって請求することができるということです。

 

出典:未払賃金が請求できる期間などが延長されています|厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/content/000617974.pdf

2024年問題による残業代の変化に注意しよう

2024年問題で大きく変わるのは、「一人当たりの残業時間の上限が年960時間に規制されること」です。

 

ドライバーにとっては、これまで規制のなかった残業時間が規制されるので、労働環境や待遇の改善につながるというメリットがあります。

 

一方で残業時間が減るということは、残業代や給料が減るデメリットであるのも事実です。しかしその場合でも、時間外労働の割増賃金率の引き上げやドライバー不足を理由とする給料などの待遇の改善で、残業代の減少を補えることもあります。

 

企業側の動向次第で残業代や給料が大きく変化します。ドライバーの方は、企業側が残業規制に講じる対策や2024年問題に関する企業の動向をよくチェックしておきましょう。

 

出典:2024年(令和6年)4月1日から自動車運転の業務にも上限規制が適用されます!!|厚生労働省
参照:https://jsite.mhlw.go.jp/chiba-roudoukyoku/content/contents/000970586.pdf

 

出典:2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます|厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/content/000930914.pdf