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大型トラックのブレーキの仕組みは?踏み方のコツや注意すべき点も併せて紹介

  • トラックドライバー

「トラックのブレーキって普通のクルマと違うってホント?」
「クルマと同じ感覚でブレーキを踏んだらいけないの!?」
このように、普段から乗用車の運転に慣れている方にとって、トラックのブレーキの違いは、そう簡単に実感できないことの方が多いでしょう。

 

ここでは、トラックのブレーキについて、その種類や構造の違いについて解説するとともに、特に注意が必要なエアブレーキの使い方についても解説していきます。

 

この記事を読むことによって、トラックのブレーキについて知識を深めるとともに、安全なブレーキの使い方を学ぶことができるでしょう。

 

トラックのドライバーを目指す方はもちろん、トラックの運行業務に携わろうとする方も、安全な運行を心がけるためにも、ぜひ参考にしてみてください。

大型トラックにとって欠かすことができないブレーキ

積載量が大きく、重量のあるトラックが、安全に曲がったり停まったりするために、ブレーキは特に欠かすことができないものです。

 

大型トラックの場合、安全に曲がり停まるために、制動力の強いブレーキが備えられているとともに、乗用車や小型・中型トラックにはない、特殊な装備もつけられています。

 

ただでさえ重たい大型トラックが、停まらなくなってしまったら、大きな事故にもつながるおそれがあり大変危険です。それを防ぐためにも、大型トラックにはいくつもの種類のブレーキが備えられています。

ブレーキの種類

ブレーキの種類として、構造的に2種類あります。1つは「ディスクブレーキ」、もう1つは「ドラムブレーキ」です。

 

いずれも共通するのは、摩擦力によって制動力を得る点ですが、それぞれ、構造の違いに伴うメリットやデメリットがあります。

 

それでは、2つのブレーキの種類について、詳しく見ていきましょう。

ディスクブレーキ

ディスクブレーキとは、車軸についたスチール製のディスク(円盤)をブレーキパッドで挟み付けることによって、制動力を得るブレーキです。

 

メリットとしては、ディスクが露出しているために放熱性が良く、それゆえ制動力が安定している点が挙げられます。

 

デメリットとしては、ブレーキパッドがディスクに触れる面積が小さいために制動力が弱い点と、製造コストがかかる点です。制動力を上げるには、ディスクやブレーキパッドを大型化する必要があります。

 

ディスクブレーキを採用する大型トラックも登場していますが、主に乗用車で採用されているブレーキ方式です。

ドラムブレーキ

ドラムブレーキとは、車軸のドラム部分にブレーキシューを押し付けることによって、制動力を得るブレーキです。

 

メリットとしては、制動力が大きいことと、製造コストがかからない点です。また、ブレーキシューのドラムへの接触面積が大きいため、ディスクブレーキと比べて摩耗が少ないといった点もメリットとして挙げられます。

 

デメリットとしては、ディスクブレーキのように露出していないために放熱性が悪く、フェード現象を起こしやすい点です。

 

メリットの面から、大型トラックのブレーキ方式として多く採用されています。

ブレーキペダルの動作をブレーキに伝える手段の種類

ブレーキを利かせるためには、ブレーキペダルの動作をブレーキに伝えなくてはなりません。その手段として2種類の方式があり、1つは「油圧ブレーキ」、もう1つは「エアブレーキ」です。

 

それぞれブレーキの利き方が異なるため、トラックの大きさや重さによって、使い分けがなされています。

 

これから、それぞれのブレーキの違いについて、解説していきましょう。

油圧ブレーキ

油圧ブレーキは、ブレーキペダルの動作を油圧に置き換えて、ブレーキに伝える方式です。油圧に使われる油はブレーキオイルが使われ、ブレーキマスターシリンダーによって、ブレーキペダルを踏む力を油圧に置き換えます。

 

油圧ブレーキの特徴として、後述するエアブレーキに比べて、制動力が弱いということもあり、中型トラックや大型トラックでは用いられません。

 

一般には、乗用車や2トントラックまでの小型トラックなどで広く採用されている方式です。

エアブレーキ

エアブレーキは、ブレーキペダルの力を高圧のエアによってブレーキに伝える方式です。ブレーキペダルとブレーキ部分とをつなぐパイプを高圧のエアで満たし、ブレーキペダルを踏み込んだ力を、満たされたエアによってブレーキに伝えます。

 

エアはコンプレッサーによって作り出され、エアで押し込む力を、ブレーキチャンバーでブレーキパッドやブレーキシューを動かす力に変換することによって、ブレーキが利く仕組みです。

 

油圧ブレーキに比べて制動力が強いため、中型以上のトラックで採用されています。

補助ブレーキ(リターダー)の種類

大型トラックは、特に荷物を満載にして下り坂を走るときなど、重量が前方に偏るために減速が難しくなります。そのような場合に役立つのが、補助ブレーキ(リターダー)です。大型トラックのブレーキシステムとして、特有のものと言ってもよいでしょう。

 

補助ブレーキには「排気ブレーキ」と「エンジンリターダー」、そして「リターダー」の3種類があります。排気ブレーキとエンジンリターダーはエンジンの回転を制御し、リターダーはプロペラシャフトの回転を制御します。

 

エンジンやプロペラシャフトの回転を制御することによって、高速走行から減速したいときや、長い下り坂で速度を抑えたいときに制動力が得られる仕組みです。

 

ここでは、排気ブレーキ+エンジンリターダーと、リターダーに分けて詳しく解説します。

排気ブレーキ+エンジンリターダー

排気ブレーキは、排気バルブを閉めることで発生する排気抵抗によって、エンジンの回転を弱め、ブレーキの役割を担う補助ブレーキの一種です。ディーゼルエンジン車は、構造上エンジンブレーキが弱いため、強い制動力を必要とする大型トラックやバスに採用されています。

 

排気ブレーキは、シリンダー内のピストンが上がる際、排気抵抗が生じることによってエンジンの回転を弱めます。しかし、ピストンが下がる際には、シリンダー内の圧力に押されてエンジンの回転が促されるため、ブレーキ効果が得られません。

 

そこで、ブレーキ効果を維持するために必要なものが、エンジンリターダーです。エンジンリターダーは、ピストンが上がりきった際に、シリンダー内の排気を逃すことで、エンジンの回転を阻害することによってブレーキ効果を得ます。

 

そのため、排気ブレーキとエンジンリターダーは、互いに補完し合うものとして、セットで装備されているのです。

リターダー

リターダーは、プロペラシャフトの回転に抵抗をかけることによって、ブレーキ効果を得る補助ブレーキの一種です。抵抗をかける方法としては、主に次の3つの方法が挙げられます。

 

まず1つ目は、作動油の流体抵抗を利用した「流体式」、2つ目は電磁石を使って抵抗を得る「電磁式」、そして3つ目は電磁式の電磁石を永久磁石に置き換えた「永久磁石式」です。

 

日本国内においては、低コストで小型化しやすい永久磁石式リターダーが主流となっています。

 

直接プロペラシャフトに抵抗をかけるために、フットブレーキの多用による負荷を抑えるだけでなく、フェード現象やベーパーロック現象を抑えることもできる補助ブレーキです。

トラックのエアブレーキの踏み方・使い方のコツ

エアブレーキは、油圧ブレーキと違い、ブレーキの利きが非常に強いため、ブレーキのかけ方に注意が必要です。うっかり乗用車の感覚でブレーキペダルを踏むと、荷崩れはもちろんのこと、事故にもつながりかねません。

 

ここでは、トラックのエアブレーキの上手な踏み方や使い方について解説していきます。よく理解して、正しいやり方をマスターしましょう。

足の裏全体で踏む

エアブレーキの場合は制動力が強いため、最初は軽くブレーキペダルを踏むようにします。乗用車を運転していると、多くの方は、かかとを浮かせてつま先でブレーキペダルを一気に踏み込むことが多いでしょう。

 

エアブレーキの場合でそれを行うと、急ブレーキの原因となり大変危険です。かかとを床につけた状態で、足の裏全体を使って軽くブレーキをかけるようにしてください。

 

そして、足首を使って徐々に踏み込むことによって、ブレーキのかかり具合を調整していきましょう。このようにブレーキペダルを踏むことによって、急ブレーキを防ぎ、安全にトラックを停止できるようになります。

クラッチを活用する

マニュアル車の場合、クラッチを利用することによって、極力ブレーキペダルを使わないように心がけましょう。

 

特にカーブを曲がる場合や右左折時などは、ブレーキペダルをバタバタと踏みがちです。ブレーキペダルの多用はエア切れのもととなり、肝心なときにブレーキが効かなくなるおそれがあります。

 

エアブレーキを使って曲がる手前で十分減速をしてから、ギアを低速に入れてクラッチをつなげましょう。すると、ブレーキペダルを頻繁に踏まなくても、安全にカーブを曲がることができます。

 

クラッチの活用も、エアブレーキに頼らないための、有効な手段のひとつです。

トラックの総重量を意識する

トラックは乗用車と違い、積載量が格段に大きいため、空のときと積荷が満載のときでは、ブレーキの利きが大きく変わります。乗用車のときではあまり意識をすることのない、総重量を意識してのブレーキングを行わなければなりません。

 

積荷が軽かったり空だったりする場合は、ブレーキが非常によく利くため注意しましょう。ついつい積荷が重い感覚でブレーキングすると、急ブレーキやタイヤのロックの原因となるので、大変危険です。

 

逆に積荷が重い場合はブレーキの利きが悪くなってしまいます。そのような場合は、踏み込む力を調整しながら、適切にブレーキが利くところまで踏み込んでいきましょう。

 

トラックを運転する場合は、常に総重量を意識しながら、適切な踏み込み加減でブレーキングを行うように心がけてください。

トラックのエアブレーキで注意すべき点

エアブレーキは、油圧ブレーキと異なる特性を持っているため、使い方に注意しなければなりません。

 

その特性とは、油圧ブレーキに比べて制動距離が長い反面、ブレーキの利きが強いというものです。また、ブレーキを使いすぎると、エアタンクに貯められたエアを消費するため、エア切れを起こしブレーキが利きにくくなるおそれもあります。

 

ここでは、トラックでエアブレーキを使う際の、注意点について解説していきます。

バタ踏みをしないこと

こまめに何度もブレーキペダルを踏むことを「バタ踏み」といいます。エアブレーキを搭載したトラックを運転する場合、乗用車の感覚でバタ踏みするのは禁物です。

 

エアブレーキの場合、バタ踏みすることによって、エアタンク内のエアを浪費してしまいます。エアがなくなると、空気圧の低下を引き起こしかねません。ブレーキが利かなくなる原因となり、事故につながるおそれがあります。

 

そのため、エアブレーキの場合は、バタ踏みをしないように心がけましょう。

エア残量を確認すること

エアブレーキにとって、エア残量はとても重要です。運転前にはエア残量も忘れずに確認してください。

 

エア残量がなくなると警告音で知らせてくれますが、残量が少なくなった場合、ブレーキの利きが悪くなるため、大変危険です。

 

また、エアを供給するコンプレッサーは、エアブレーキの他に、サイドブレーキやその他駆動系などにも使われています。そのため、タンク内のエアが一度抜けると、再び溜まるまで時間がかかります。

 

そのためにも、十分なエア残量があることを確認してから運転するようにしましょう。

車間距離を保ちスピードを出しすぎないこと

ブレーキの踏みすぎを防ぐためには、車間距離を十分に保つことと、スピードの出しすぎに注意することも重要です。

 

大型トラックは総重量が大きいため、制動距離が長く、急には停まれません。車間距離を詰めたり、スピードを出しすぎたりするのは、ブレーキの踏みすぎのもととなるだけでなく、事故にもつながるおそれがあります。

 

ブレーキの踏みすぎによるエア切れはもちろん、荷崩れを防ぎ安全に走行するためにも、車間距離を保ってスピードは出しすぎないよう注意しましょう。

大型トラックのブレーキの仕組みを理解し安全運転をしよう

ここまで、大型トラックのブレーキの仕組みについて解説していきました。

 

トラックのブレーキ方式として、構造的にはドラムブレーキとディスクブレーキに分けられ、ブレーキペダルの操作をブレーキに伝える手段では、油圧ブレーキとエアブレーキに分けられます。

 

特にエアブレーキは、エアの消費を抑えるために、扱い方に注意しなければなりません。注意を怠ると、ブレーキの利きに影響を与え、事故を起こす原因となります。

 

この記事を参考に正しいブレーキ操作を意識して、安全運転に努めましょう。